[ポストM&A戦略]
2016年11月号 265号
(2016/10/18)
特にクロスボーダーM&Aを題材に、買い手の人事部門がどのタイミングで、どのような役割を果たすのかを解説する本シリーズの締めくくりとして、今回、最後に下記の2点を取り上げる。人事部門の読者はもとより、ディールにかかわる他部門の読者にも、参考にしていただければ幸いである。
• 事業構造改革・組織統合の支援
• 個別案件を越えた組織・人事のグローバルガバナンスの確立
ディールの時間軸と人事部門が果たす役割の変化(前々回、前回からの続き)
(6)事業構造改革、組織統合の支援
買収時に支払ったプレミアムを回収し、さらにM&Aの目的(大義名分)達成に十分な高い業績を実現するためには、通常は、買収後に何らかの事業の改革が必要である。つまり、買収後、事業の成長を自然体に任せるのではなく、事業成長策・業績伸長策を積極的に講じなければならない。
ここで言う事業構造改革とは、「目標の設定を見直し、従業員のやる気を高めれば、会社の業績は自ずとよくなるものだ」というシンプルな話ではなく、競合に対してより優位に戦うために、仕事の仕方や組織、ひいてはビジネスモデルを変え、コスト構造や販売チャネルや人的生産性といった積年の課題にもメスを入れ、海外展開など出遅れている分野を買収やアライアンスにより大きく底上げする、などの抜本策を含む統合的な改革を実施して、以前とは見違えるくらいに出来の良い会社にする、という話である。このようなことは、優れたPEファンドの投資成功事例としてしばしば紹介されるが、買い手が事業会社の場合でも、考え方や手法は同じである。
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――4月1日「オリックス・クレジット」から「ドコモ・ファイナンス」に社名変更
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