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[特集・特別インタビュー]

2018年2月特大号 280号

(2018/01/19)

アベノミクスの成否を決める生産性向上政策

~労働市場改革で既得権益との果敢な戦いが鍵

 ロバート・フェルドマン(モルガン・スタンレーMUFG証券 シニアアドバイザー)

ロバート・フェルドマン

目次

玉石混淆のアベノミクス

-- 2017年11月1日に第4次安倍内閣が発足しました。12年12月に誕生した第2次安倍内閣では、いわゆる「アベノミクス」で『大胆な金融緩和政策』、『機動的な財政政策』、『民間投資を喚起する成長戦略』という“3本の矢”を柱とし、これによってデフレ脱却、新たな経済成長を目指すという経済政策が打ち出されました。さらに、15年9月に安倍首相は「アベノミクスは第2ステージに移る」と宣言し、経済成長の推進力として「1億総活躍社会」の実現を目的とする「強い経済」、「夢をつむぐ子育て支援」、「安心につながる社会保障」の「新3本の矢」を発表しました。

  内閣府が17年12月に発表した17年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値を見ますと、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算では2.5%増となっていますが、フェルドマンさんは、これまで進められてきたアベノミクスについてどのように評価しておられますか。

「一言でいうと、玉石混淆です。“玉”は何かというと、例えば金融政策です。金融緩和政策によって行き過ぎた円高を修正しました。これはよいことです。また、自民党の基盤である農協の改革についても相当果敢に取り組んできました。税制改革についてはもう少しやるべきだと思いますが悪くはありません。さらに、企業のコーポレートガバナンスに関する改革も大きく進み、外部取締役を大幅に増やしたという点では一定の成果があったと言えるでしょう。安倍首相が示した「新3本の矢」については、人口1億人の維持を明確な目標に位置づけた点は評価できますし、高齢者の労働、自立を促す方針を示したことも、これまでの健康維持や延命に重点をおいてきた政策からの大きな転換を表すメッセージとして評価していいと思います。

  一方、“石”は何かと言いますと、金融政策に関して金融緩和政策からの出口に向けてどのような政策を打っていくのかという点が見えていないという点があります。日銀は2%の物価安定を目標として設定しました。そのために、13年から日銀は『量的・質的金融緩和』と名づけて、国債の買い入れの拡大などいくつかの施策を打っているわけですが、その中の1つがETF(上場投資信託)の買い入れです。これは、日銀がETFを市場から買い入れることで市中にお金を流そうという政策で、日銀は16年7月29日の金融政策決定会合で、『保有残高が年間約6兆円に相当するペースで増加するようETF買入れを行う』ことを決定しました。それまでの買入れ額は年間3.3兆円でしたから、ほぼ倍に引上げられたわけです。しかし、この政策が長期化することで株価が上昇する反面、それをやめると株価が急落するリスクが伴います。これをどうするかという課題があるのです。

  また目標に掲げたインフレ率2%が未だに実現できていないということもマイナス点です。その大きな原因としては、14年4月の消費税増税によって大きな景気後退を招いてしまったということがあげられると考えています。14年当時は、さらに翌15年10月に8%から10%への消費増税が予定されていましたから、消費者のインフレ期待を完全に挫くことになってしまいました。これによって財布のヒモが締まってしまったのです。結局、消費税率を10%に引き上げる時期については、19年10月に延期されることになったわけですが、国民のインフレ期待は醸成されていません」

-- 昨今、12年12月から続いているとされる今の景気回復が“いざなぎ景気”(1965年11月~70年7月)を超えて戦後2番目の長さとなると話題になっていますが、国民の間には実感がないという声が多数あります。

「たしかに、東京株式市場で日経平均株価が2万3000円近くにまで上昇して、バブル経済崩壊後の高値を超えて、92年1月の2万3113円以来の高水準となりました。また、総務省が17年10月に発表した9月の『労働力調査』によると、完全失業率(季節調整値)は2.8%と雇用情勢も好転しています。しかし、私が調べたところでは、いざなぎ景気の時には57カ月で鉱工業生産が100%以上上昇したのに対して、今回の景気回復では58カ月で約8%しか上昇していないのです。だから、好景気といわれてもそれを国民が肌で感じられないのです。これもマイナス点を付けざるを得ませんね」

-- やはり、消費税引き上げの影響は大きかったということですね。

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