[カーブアウト・事業売却の人事実務]

2023年3月号 341号

(2023/02/09)

第2回 各論I:カーブアウト・事業売却の全体プロセスと人事実務の重要性

柴山 典央(マーサー ジャパン M&Aアドバイザリーサービス部門 プリンシパル)
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事業売却の各論

 本稿より2回に分けて、事業売却の各論について論じる。前半である今回は、事業売却の全般的な進め方や、そのプロセスにおける人事的な論点の概要および、事業売却時の心構えについて述べたい。

 事業売却は、平時の事業運営におけるポートフォリオの見直しから始まり、事業の法的な保有者の変更、運営責任の終了まで、長期間に亘って複雑なプロセスを経て行われる。事業売却のプロセスはともすればコストを掛けずに、財務や法的な側面のみを中心に進められがちではあるが、人事的な側面も捉え、適切に対応することで、事業価値を向上し、高い価値での売却につなげることができる。あるいは、軽視することで事業価値の損失につながることもある。

事業売却はどのように進めればよいのか、各ステップにおける人事的な論点の概要

 まず、事業売却のプロセスは、売却の意思決定から開始されるものではなく、平時の事業運営の取り組みから始まっている。理想的には、各事業ポートフォリオの市場環境を踏まえ、自社の注力していくビジネスとそうでないビジネスの選別を行い、適切なタイミングを見計らって売却の意思決定を行うべきである。

1. 平時の取り組み

 平時における取り組みとは通常の事業運営の中での企業戦略、事業ポートフォリオのレビューである。人事の観点からは、この期間、市場水準と比較して過度に過不足が起こらないよう、各種人事制度のレビューやオペレーション・コストの最適化を狙った人事制度の統合、ブローカーや保険会社等を中心としたベンダーの統一化を進める。確定給付型年金が存在している場合は、バイアウト等による債務の圧縮を図る。過去に買収を行っている場合は、組織統合や制度統合などを通じた効率化も行う。

2. 売却の設計


■筆者プロフィール■

柴山 典央氏

柴山 典央(しばやま のりお)
マーサージャパン M&Aアドバイザリーサービス部門 プリンシパル
国内独立系ベンチャーキャピタルにおけるハンズオン投資、総合コンサルティングファームにおける製造流通業への経営コンサルティングを経て現職。マーサーにおいては、主に日系企業による大型の株式買収や多国籍カーブアウトディールの支援を多く行っている。
著書に「カーブアウト・事業売却の人事実務」(2022年中央経済社刊、共著)、 「M&Aを成功に導く 人事デューデリジェンスの実務(第三版)」 (2019年 中央経済社、共著)がある。
慶應義塾大学理工学部化学科卒、同大学院基礎理工学専攻修了。

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