[視点]

2025年5月号 367号

(2025/04/09)

東京証券取引所によるMBO・支配株主による完全子会社化に関する企業行動規範の見直しから考える実務の課題と今後 - 事業計画に関するポイントを中心に

十倉 彬宏(長島・大野・常松法律事務所 パートナー 弁護士)
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 東京証券取引所(「東証」)の市場区分の見直しに関するフォローアップ会議(「フォローアップ会議」)において、MBO・支配株主による完全子会社化に関する企業行動規範の見直しが議論されており、第20回フォローアップ会議(2025年2月18日開催)の資料として企業行動規範の見直しの概要が公開されている(注1)。企業行動規範の適用対象となる取引類型を、これまでのMBO及び支配株主による完全子会社化に加えて、その他の関係会社(財務諸表等規則第8条第17項第4号に規定するその他の関係会社=20%以上の議決権を有している会社や、15%以上20%未満で重要な影響を与えられる場合)による完全子会社化まで拡張していることを含め、実務への影響は小さくないと思われるが、本稿では、事業計画(財務予測)に焦点を当て、今般の見直しに至る議論の過程から垣間見られる完全子会社化案件において策定・検証される事業計画についての市場関係者の評価や課題意識(注2)を取りあげつつ、事業計画に関連して求められる情報開示の内容の見直しが実務に与え得る影響を考えたい。

上場会社の完全子会社化における事業計画の位置付け

 上場会社を対象会社とする完全子会社化案件においては、


■筆者プロフィール■

十倉氏十倉 彬宏(とくら・あきひろ)
長島・大野・常松法律事務所 パートナー 弁護士。2009年東京大学法学部卒業、2010年弁護士登録(第一東京弁護士会、63期)、2017年University of California, Los Angeles, School of Law卒業(LL.M.)、2017年~2018年Fenwick & West LLP (California)勤務、2018年~2019年Meitar Liquornik Geva Leshem Tal (Israel)勤務、2019年Mattos Filho (Brazil)勤務。国内外におけるM&A・企業組織再編を中心に、企業法務全般に関するアドバイスを提供しており、特に、同意なき買収提案への対応を含む企業の支配権争奪局面への対応、アクティビスト対応に注力している。国内外のスタートアップの資金調達、投資及び買収についても多くの経験を有する。

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