<ポイント>
〇国内3拠点(東京・大阪・名古屋)を持つSMBC日興証券グローバル・インベスト・バンキング部門(GIB部門)でビジネスを展開
〇SMFGと連携強化、Jefferiesとの戦略的資本・業務機能の強化も進める
〇2022年度のM&Aリーグテーブルでは、大型案件が寄与し、金額ベースで野村を抜いて1位
〇直近期は、金融庁による行政処分事案もあったが、M&A関連ビジネスへの影響は相対的に軽微
外資・銀行とのM&Aを経験 SMBC日興証券は、2009年以降、銀行持株会社の三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)グループ傘下の証券会社として事業を展開している。100年以上の歴史を有する日本の旧4大証券として、1998年のトラベラーズ(現シティグループ)との提携を皮切りに、自社でもこれまで度重なるM&Aを実施してきた(図表1)。2008年にシティグループによる
完全子会社化、翌年の2009年には三井住友銀行が株式の100%を取得し、完全子会社化された。2022年にはSBIグループと包括資本業務提携を実施するなど、外資系証券会社やメガバンクのみならず、様々な金融事業者の企業文化を吸収しながら、現在に至っている。
【図表1】SMBC日興証券の沿革沿革 |
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1918年 | 創業者遠山元一が川島屋商店創業 |
1944年 | 日興證券設立 |
1998年 | トラベラーズ(現シティグループ)と資本提携 |
1999年 | 日興ソロモン・スミス・バーニー証券設立 |
2001年 | 日興コーディアルグループに社名変更 |
2007年 | シティグループが株式61%を取得し子会社化 |
2008年 | シティグループが完全子会社化 |
2009年 | 三井住友銀行が株式100%を取得し完全子会社化 |
2011年 | SMBC日興証券に社名変更 |
2016年 | SMFGが三井住友銀行より株式を取得し完全子会社化 |
2018年 | SMBCフレンド証券株式会社と合併 |
2022年 | SBIグループとの包括的資本業務提携 |
中核となるGIB部門
日本で投資銀行業務をメインに担当するのは、国内3拠点(東京・大阪・名古屋)を持つ、SMBC日興証券グローバル・インベスト・バンキング部門(GIB部門)だ。
2023年3月時点で、GIB部門の国内3拠点のほか、プライベート・バンキング(PB)部10拠点(東京・本店・新宿・日本橋・横浜・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡)、国内支店法人部(14拠点)などとも連携しながら、顧客への様々なソリューションを提供している。
他方、海外にも拠点を持つ。ニューヨーク(SMBC日興セキュリティーズ・アメリカ)、ロンドン(英国SMBC日興キャピタル・マーケット)、香港(SMBC日興セキュリティーズ)、上海(SMBC日興投資コンサルティング)、シンガポール(SMBC日興セキュリティーズ)が中心となる。各主要海外拠点にもM&A専門人材を配置しており、案件によっては拠点同士が連携している。
これら海外拠点との連携に加え、アジアや南米等における現地有力金融機関との提携関係を活用し、現在、米国・欧州・南米・アジアの4拠点はカバーし、海外のM&Aニーズに応えている。その中でも大きいトピックが、SMBCグループとして2021年7月に米国最大手の独立系有力投資銀行の一つであるJefferiesと提携したことだ。
現在、経営再建中のジェネリック医薬品メーカーである日医工はSagent Pharmaceuticals及びOmega Laboratoriesの全株式をEllimist Singaporeに譲渡することを公表したが(2023年2月)、SMBC日興証券は、Jefferiesと共に日医工のアドバイザーを務めた。徐々に2社での実績が生まれている。