[M&A戦略と会計・税務・財務]
2009年3月号 173号
(2009/02/15)
資産の評価損の損金算入
米国のサブプライムローン問題や米系金融機関の大規模破綻事件等を背景に、2008年の国内における上場企業の倒産件数は戦後最多の33件となった。最近の倒産事例においては、ビジネスそのものの失敗というよりむしろ資産価値の急速な低下に伴うファイナンス環境の悪化から資金繰りに窮したことによって法的手続の申立てに至るというケースが少なくなく、そのような再建・再生企業がM&Aのターゲットとなるというケースは今後さらに増加していくことが予想される。再建・再生企業にエクイティ投資を行う際には、ターゲット企業の法人としての税務リスクを引き継ぐこととなるが、再建・再生企業にあっては、課税所得に対して大きなインパクトをもたらす特有の税務イベントが多数生じることとなるため、入念な税務デュー・ディリジェンスや事前の税務プランニングを実行しておくことが必要不可欠となる。本稿では、再建・再生企業に生ずる債務免除益に対する課税への対応として実務上も最も重要となる資産の評価損の損金算入の問題について考察することとしたい。
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