[M&A戦略と法務]
2016年8月号 262号
(2016/07/15)
一 はじめに
近時、学校法人を対象とするM&Aが活発化しており、大学を設置する法人同士のいわゆる水平的統合事例(注1)のほか、大学を設置する法人と高等学校を設置する法人との間のいわゆる垂直的統合事例(注2)など、相当程度の事例が蓄積されている。
他方で、学校法人の経営問題への対応等に関して、平成19年8月に日本私立学校振興・共済事業団(以下「私学事業団」という)学校法人活性化・再生研究会により報告書が取りまとめられているが、近時、文部科学省により「私立大学等の振興に関する検討会議」が発足し(注3)、学校法人(私立大学等)に係る諸課題に関する検討の一環として、学校法人の再編・再建型M&Aに関する議論も活発化することが予想される。
そこで、本稿では、私立大学等を設置する学校法人の再編・再建型M&Aによる経営権取得(ないし経営参画)を企図する当事者(スポンサー)としての観点で、留意すべき近時の法改正の内容に言及したうえで、再編・再建型M&Aの手法、及びデューデリジェンスの留意点についてそれぞれ言及する。
なお、学校法人を対象とする合併及び分離(設置者変更)、並びに理事の交替の手法に関する私立学校法等に基づく手続内容については、別稿(注4)において詳述されているので、併せてご参照いただきたい。
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