経営統合の3つのパターン
菅義偉政権の問題意識も影響し、地方銀行および第二地方銀行の経営統合が足元で加速している。現在の地銀の経営統合は、①同一県内での銀行持株会社設立後、将来的に合併するもの、②近隣県での経営統合(銀行持株会社の設立)、③システムを共同運営するなど遠隔県間の業務連携、の3つのパターンに分類できる。
こうしたなか、2021年後半以降、経営統合の動きが活発化しそうな機運が高まっている。20年以降に、日銀や金融庁が経営統合を後押しする施策を相次いで打ち出したためだ。
「合併」や持株会社設立など経営統合を実施する地方銀行に補助金を支給して地銀再編を促すことを目的にした改正金融機能強化法が21年7月21日に施行された。補助金の申請は26年3月末までで、約5年間の時限措置になる。制度を考案・設計した金融庁は、人口減少地域を主たる営業地域とし、合併・経営統合など事業の抜本的な見直しを行う銀行や信用金庫などに対して、経営統合にかかるITシステム関連費用の一部を交付するという仕組みにした。
さらに日銀も21年3月、20年度から22年度までの3年間の時限措置として、地域金融機関の経営基盤強化を後押しすることを目的とした「地域金融強化のための特別当座預金制度」(以下、特別付利制度)の導入を発表した。特別付利制度は、経費削減など経営基盤の強化や経営統合を達成・実行した地域金融機関(地方銀行、第二地方銀行、信用金庫)に対して、当該金融機関の日銀当座預金に追加でプラス0.1%の付利を行う制度である。中央銀行が地銀再編を後押しする施策を打ち出すことは過去に例がなく、異例中の異例とも言える制度だ。…