[藤原裕之の金融・経済レポート]
(2017/10/11)
ファミマとユニーの厳しい現状
8月24日、流通大手のユニー・ファミリーマートホールディングス(HD)はディスカウントストア大手のドンキホーテホールディングス(HD)と資本・業務提携することで基本合意した。
この提携の最大の柱は、ユニーが運営する総合スーパー(GMS)「アピタ」「ピアゴ」の立て直しにある。ユニー・ファミリーマートHDの高柳社長が「時間をかけていると立て直しが難しくなると判断した」と発言しているように、アピタとピアゴの改革はそれだけ喫緊の課題となっている。周知のようにイオンやイト-ヨーカ堂など大手GMSを含む全国スーパーの売上高は低迷状態が続いており、ユニーもまったくといっていいほど同じ軌道を描いている(図表1)。ユニーの低迷はGMSという業態の不振を象徴するものといっていい。
一方のファミリーマート(以下ファミマ)はどうか。ファミマは昨年9月にサークルKサンクスとの統合を果たした。店舗数では約1万8000店舗とローソン(約1万7000店舗)を抜き約2万店舗のセブンに肉薄する状況となったが、セブンとの間には依然大きな開きがある。今年の夏は天候不順の影響でコンビニ全体の売上高は6月から3カ月連続で前年割れ状態にある。しかしこうした中でもセブンだけは底堅さを維持している(図表2)。
ユニー・ファミマHDにとって再生に向けた最大の柱がGMS改革であることは間違いないが、高柳社長が「コンビニエンスストア(CVS)は強化、GMSは改革に取り組む」と公言しているように、ドンキはファミマとユニー双方の持つ課題にどれだけプレゼンスを発揮できるかという視点で見ていく必要である。
図表1 ユニーと全国スーパーの売上比較(前年同月比)
図表2 ファミマとセブンの売上比較(前年同月比)
小売業界における3社のポジショニング
ドンキとの業務連携でユニーはどのような姿になるのか、ファミマはドンキによってセブンに迫る競争力を持てるようになるのか。3社の小売業界でのポジショニングを比較整理することで、こうした疑問へのヒントがみえてくるはずである。
まず2つの軸を使って価値を分類してみる。一つ目の軸は…
■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
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