[Webインタビュー]

(2013/09/18)

【第29回】日本PE協会新会長に聞く「アベノミクスの日本経済成長戦略のもと、PEファンドの役割はますます高まる」

 江原 伸好(日本プライベート・エクイティ協会 会長)
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日本PE協会設立の経緯

―― 江原さんは2005年に日本プライベート・エクイティ(PE)協会の初代会長を務められ、今回が2回目の会長就任になりますが、日本PE協会の設立の経緯を教えてください。

 「日本におけるPEファンドの設立は、1996年の独禁法改正によって純粋持株会社が法的に認められるようになったことが契機となりました。これによって、PE投資が可能になり、97年にアドバンテッジパートナーズ、私どもユニゾン・キャピタルが98年という具合に日本でもPEファンド事業がスタートしました。

 その後、PEファンド事業の代表数名が非公式に集まってPEファンドを日本に根付かせるためにどうすれば良いかについての会合を持つようになりました。協会設立の直接のきっかけになったのは、税制改正の動きでした。PEファンドに投資する海外の投資家に対して日本における納税義務が課せられるかもしれないということで、グローバル・スタンダードから考えると日本のファンド税制が投資家にとって著しく不公平な状態になりそうだという問題点が会合の中で指摘されたのです。PEファンドに対する投資家は世界中におられるわけですが、日本に海外から投資資金を集める時に税制がグローバル・スタンダードになっていないのは問題です。そこで、こうした問題への取り組みを契機として日本PE協会が設立されることになったわけです。現在協会は正会員29社、賛助会員5社で構成されていまして、活動範囲も業界活動全般に関する調査・研究・検討、業界の地位向上のための広報・宣伝・出版等の活動の実施、諸官庁に対する政策提言、法律改正等の要請など、活動の幅が広がってきています」

―― ドラマや映画でPEファンドが取り上げられたこともあって、一般的な認知度は日本でも上がったと思ますが、残念ながら「ハゲタカ」というイメージが強調されて、PEファンドの役割が正しく理解されていないというのは問題ですね。

 「PEファンドというと、特殊な金融的仕組みを使って、何かよくわからないことをやっているという印象を多くの方が持っておられるのではないでしょうか。しかも、ある会社の株の買い占めなどがメディアで大きく取り上げられたりしたことから、マイナスのイメージでとらえておられる方がいまだに少なくないと思います。

 それと、PEファンドの場合ほとんどが上場されていませんから、一般的な意味におけるディスクロージャーが限られているということも外から見るとわかりづらいという印象を与えているのかもしれません。実際には、ファンド運営者であるGP(無限責任組合員)が、ファンドに投資しているLP(有限責任組合員)に開示している内容は、上場会社のディスクロージャーと比較して量、質ともに何倍も詳細なものです。ですから、別に怪しげなことをやっているわけでも何でもないのですが(笑)、一般の方からするとわかりづらいという印象を持たれるのだと思いますね」

―― PEファンド業界としては、そうした誤解を解くような情報発信をどんどんやっていかなくてはいけない。

 「協会としてもこれまで広報活動等を通じてそうした誤解を解くように努力をしてきましたが、今後さらに力を入れて行かなければならない課題だと思っています。一方で、PEファンドはリスクマネーの提供者というだけではなく、人的なリソースも提供して投資先の経営の立て直しや成長戦略の後押しをおこなう重要な存在だという認知も、我々が創業した当時から比べると広がってきていると思います。今後さらに協会の活動を活性化させることで、PEファンドの機能や役割を広くみなさまにご理解いただければと思っています」

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