[【連載対談】M&A戦略で最速ユニコーン企業を目指すスタートアップ――SHIFTのM&A責任者・小島秀毅氏が顧問として飛躍的成長をサポート]

(2024/07/11)

【前編】西和田 浩平・アスエネCEO&Co-Founder

―― 気候変動×テクノロジーのGX(グリーントランスフォーメーション)領域でグローバルNo.1を目指す

小島 秀毅(アスエネ 顧問/SHIFT グループ経営推進部 部長、SHIFTグロース・キャピタル 取締役)
西和田 浩平(アスエネ 代表取締役CEO&Co-Founder)
  • A,B,C,EXコース
小島秀毅・アスエネ 顧問/SHIFT グループ経営推進部 部長、SHIFTグロース・キャピタル 取締役(右)と西和田浩平・アスエネ 代表取締役CEO&Co-Founder

小島秀毅・アスエネ 顧問/SHIFT グループ経営推進部 部長、SHIFTグロース・キャピタル 取締役(右)と西和田浩平・アスエネ 代表取締役CEO&Co-Founder

 2022年11月、政府は「スタートアップ育成5か年計画」(以下、5か年計画)を策定し、官民で「スタートアップを数・レベルともに5年で10倍増」という目標を掲げた。5か年計画のロードマップの中にはいくつかの施策が言及されているが、「メンターによる支援事業の拡大・横展開」という点が挙げられたのが興味深い。

 年々スタートアップの数は増えている一方で、スケールできている企業が少ないのは、米国などと比べてメンターの数が足りないことが要因の1つと言われる。起業家の想いを咀嚼し、そのゴールに向けた実務プロセスを考え、チームを作って形にする人材が不足しているのが現状で、経験と実績のあるメンターが顧問などでサポートできれば日本のスタートアップは飛躍的に成長し、それが日本経済を活性化させることにつながる。

 このほど、SHIFTのM&A責任者である小島氏が気候テックのアスエネと業務オペレーション最適化のFLUXの2社の顧問に就任した。起業家がどのような狙いでメンターとして小島氏を招聘したのか。また、M&A戦略を駆使してどのようにビジネスをスケールさせていくのかを話し合っていただく。前編の今回はアスエネの西和田浩平代表取締役CEOにご登場いただいた。

<目次>
  1. 日本のスタートアップを取り巻く環境
  2. アスエネの取り組み
    • アスエネを立ち上げた背景及び想い
    • アスエネのビジネスモデル
    • シリーズCのファイナンスで50億円の追加資金調達
    • M&Aチーム立ち上げと小島氏顧問招聘の狙い
    • アスエネのM&A戦略
  3. 最後に
    • デカコーン企業を目指して

Ⅰ.日本のスタートアップを取り巻く環境

―― 現在の日本のスタートアップを取り巻く環境についてどのようにお考えでしょうか。

小島 「大きく『起業家』、『資金調達』、『社会基盤(国のサポート・金融政策・税制など)』の3つの視点で考えていますが、こうした外部環境は以前よりかなり整ってきたと感じます。『社会課題を解決したい』という強い想いを持った起業家は年々増えていますし、そうした起業家やビジネスに成長資金を提供する投資家層も拡大しています。また、政府も『スタートアップ育成5か年計画』を発表するなど、積極的な支援に乗り出してきています。

 一方で、世界に目を向けると日本のスタートアップはミッドサイズが中心で、グローバルにスケールしているケースが少ないのが実態です。その要因には様々なものが複合的に絡み合っていますが、『国内市場向けサービスやプロダクトが中心』、『グローバル市場での戦い方やグローバル投資家とのコミュニケーション方法が分からない』、『EXITがIPO偏重』、『メンター不足』などが挙げられると思います」

―― グローバルな観点からみると、最近注目されているスタートアップのテクノロジー領域やテーマはどういったところが挙げられるのでしょうか。

小島 「グローバルな観点からホットなテクノロジー領域は2つあると思っています。1つは『気候テック』、もう1つは『生成AI』です。

 現在、顧問を引き受けている2社もそれぞれの領域で有望だと考えているスタートアップで、実際、直近の資金調達額を見てもアスエネが累計101億円(シリーズC)、FLUXが累計56億円(シリーズB)となっています。投資家の資金もこうしたテクノロジー領域に流れているのがよく分かります」

―― そうしたなかでスタートアップの顧問を引き受けることに至った理由は何だったのでしょうか。


■小島 秀毅(こじま・ひでたか)
東京外国語大学外国語学部卒業。一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程(MBA)修了。ハーバード・ビジネス・スクールPLD修了(PLDA)。大和証券、GCA(現・フーリハン・ローキー)を経て、2011年に三菱商事にてライフサイエンス本部立ち上げと合わせて同社に入社。食品化学事業において国内外のM&A/PMIを推進し、グループのコア事業に育てる。また、米国企業買収に伴い現地本社でもCEO補佐として北米のM&A/PMI戦略の立案と実行に携わる。2020年からSHIFTにてM&A/PMIを一貫して行える体制を組成し責任者を務める。2022年3月にSHIFTグロース・キャピタルを設立、取締役として参画しM&Aをリード。米国公認会計士。<著書>『クロスボーダーM&Aの契約実務』(共著、中央経済社)

■西和田 浩平 (にしわだ・こうへい)
慶應義塾大学卒業、三井物産にて日本・欧州・中南米の再生可能エネルギーの新規事業投資・M&Aを担当。ブラジル海外赴任中に分散型電源企業出向、ブラジル分散型太陽光小売ベンチャー出資、メキシコ太陽光入札受注、日本太陽光ファンド組成などを経験。2019年、Climate Tech領域のアスエネを創業。Forbes Japan Rising Star Award受賞、2021 Forbes Japan 100に選出。エジプトCOP27、ドバイCOP28にJCLP視察団として参加。2023年に経産省のJ-Startupに選出。Carbon EX共同代表取締役Co-CEOも兼任。

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