[カーブアウト・事業売却の人事実務]

2023年9月号 347号

(2023/08/09)

第8回(最終回) 総括

北野 信太郎(マーサー ジャパン グロースリーダー シニアプリンシパル)
  • A,B,C,EXコース
連載の総括

 8回に亘って議論してきた「カーブアウト・事業売却の人事実務」の本シリーズも今回が最終回となる。本稿ではこれまでの論点のキーポイントを要約して再度おさらいし、全体の総括をしたいと思う。

第1回:事業売却は「高く・遅滞なく・手離れ良く」

 第1回はカーブアウトや事業売却における基本的な心構えを、「高く・遅滞なく・手離れよく」と表現し、事前の準備の重要性を訴えている。

 これまでメンバーシップ型雇用が中心の日本企業では、「同じ組織のメンバー」である対象事業とその従業員を切り離すことへの心理的な抵抗感があるように見受けられたが、一旦ノンコアと判断した事業を切り離すことに情緒的な躊躇があってはならない。むしろノンコアとなり投資対象から外れたからには、対象事業を切り離して、新たな投資対象のコア事業として受け入れてくれる買主を探す方が、売り手にも買い手にも、そして従業員にとっても幸せであり、正に「三方一両得」と言えるだろう。

 それと同時に、いざ売却となった際に慌てないよう、事前の準備が遅滞なく手離れよく売却を行う上で重要だが、同様に可能な限り高値で対象事業を買い取ってもらう努力も忘れてはならない。株主から見れば保有資産を可能な限り高値で売却するのはAgentとしての企業の果たすべき最低限の責任であり、そのための努力を惜しむことは株主に対する背任であるとさえ言えるだろう。

第2回:各論I(カーブアウト・事業売却の全体プロセスと人事実務の重要性)

 各論Iでは事業売却のプロセスの全体像を通して解説した。

 まず平時からの取り組みとして、


■筆者プロフィール■

北野 信太郎(きたの・しんたろう)北野 信太郎(きたの・しんたろう)
マーサージャパン グロースリーダー シニアプリンシパル 英国アクチュアリー会正会員
グロースリーダーとして事業横断的な成長戦略策定と推進を担当する。現職以前は日系グローバル企業の海外人事ガバナンスに携わり、クロスボーダーM&A時の人事デューデリジェンスや買収後の法人・人事制度統合支援、グローバル人事ガバナンスの体制構築等、幅広い支援を提供。
現職以前はマーサーの年金コンサルティング部門の代表を務める。年金コンサルティング部門では、日系グローバル企業に対する海外の年金制度のコンサルティング・サービスを創設し、欧米での年金バイアウトやクロスボーダーの年金デューデリジェンス、米国401kの被差別テストや制度統合、グローバルアクチュアリー等のサービスを立ち上げる。その他、国内でも制度設計や企業合併・買収等の支援、労使交渉支援等、幅広くプロジェクトを担当する。社外での講演や専門誌等への寄稿等も多数行う。
マーサー入社以前は、英国ワトソンワイアット(現ウィリスタワーズワトソン)で年金数理コンサルティングの業務に携わる。ロンドン大学インペリアル・カレッジ大学院で数学の修士号を取得し、英国アクチュアリー会の正会員である。


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