[M&A用語]

コベナンツ(誓約事項)

英語 :Covenants

コベナンツ(Covenants、誓約事項)とは、契約当事者が一定の行為を行うこと又は行わないことを約束することをいう。

1. M&A契約におけるコベナンツ

M&A契約においては、契約締結日からクロージング日の間そしてクロージング日以降に、各当事者が行うべき行為や、逆にしてはならない禁止事項を規定(つまり互いに一定の行為を約束・誓約)する。

クロージングまでのコベナンツの例としては、売主側においては、取引実行に必要となる取締役会(又は株主総会)の承認の取得などの手続関連の規定のほか、チェンジ・オブ・コントロール条項に抵触する取引先からの同意取得、クロージング日までの間対象会社の事業を通常の業務の過程に従って運営すること等が規定される。買主側においては競争法(独占禁止法)上要求される届出の実施などが規定される。クロージング後のコベナンツの例としては、売主側においては一定期間の競業禁止や役員・従業員の勧誘の禁止、買主側においては対象会社の従業員の継続雇用や売主が対象会社の債務に対して行っている個人保証の解除などが規定される。

2. 負債契約(買収ファイナンス契約その他融資契約、社債契約等)におけるコベナンツ

融資契約や社債契約(社債引受契約、社債発行要項等)におけるコベナンツは、借入人・発行体である債務者(存在する場合は保証人も)に対して、一定の行為を行うこと又は行わないことを義務とする条項をいう。
特にLBOローンにおいては、対象会社の事業が生み出すキャッシュフローと資産のみを弁済原資とするため、通常のローンよりも厳格なコベナンツが課される。例えば以下のような誓約事項が課される。
  • モニタリングのための情報提供義務
    計算書類などの定期的な報告のほか、役員交代や組織再編等の会社に変更が生じた場合の報告等
  • 財務制限条項(財務コベナンツ、フィナンシャル・コベナンツ)
    一定の基準日・基準期間において遵守すべき財務指標を設定し、当該数値を満たさない場合は期限の利益の喪失事由となる。レバレッジ・レシオ、DSCR、ICR、EBITDA金額、純資産維持などが代表的な指標である。
  • 担保提供禁止(ネガティブ・プレッジ)
    他の債権者への担保提供を禁止する
  • 配当禁止、一定額以上の設備投資の禁止など
    ローン弁済を優先するためにキャッシュアウトに対し制限を課す

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更新日:2024年02月09日

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