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[【企業変革】TSR戦略とESG~どのようにESGを企業価値向上につなげるか(ボストン コンサルティング グループ)]

(2021/08/11)

【第2回】ESGとTSRの関係

加来 一郎(ボストン コンサルティング グループ マネージング・ディレクター&シニア・パートナー)
坂上 隆二(ボストン コンサルティング グループ パートナー&アソシエイト・ディレクター )
グレゴリー・ライス(ボストン コンサルティング グループ パートナー&ディレクター)
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近年注目を集めるTSR

 皆さんはTSRという言葉を聞いたことがあるだろうか。TSRとはTotal Shareholder Returnの略で、日本語では「株主総利回り」と訳されることが多い。TSRは一定期間における株価の値上がりであるキャピタルゲインとインカムゲイン(配当など)の総和である。これは株主にとってのリターンを包括的に表す指標であり、また別の言い方をすると、企業価値の総出力を測る指標ともいえる。

 TSRは近年日本でも経営者の間で注目を集めている指標だ。日本企業は、これまで売上やEBITDA、またROEROICなどの財務KPI(重要業績評価指標)や、それを事業のオペレーションに分解した指標など、様々なKPIを駆使して経営の舵取りを行い、また投資家との対話でもこれらのKPIを活用してきた。しかし、(全てのステークホルダーに配慮しつつも)企業価値向上などを通じ株主に報いるという株式会社の究極的な目的を鑑みると、TSRを最上位の指標として位置づけるのが妥当だ。

 TSRを持続的に向上させるためには、TSRを構成要素(利益成長、マルチプルの向上、配当等のキャッシュフロー)に分解した上で、各要素と戦略変数をひもづけて考えることが重要だ (図表1)。例えば、利益成長であれば、新規領域への進出やM&Aによる売上の成長、またはオペレーションの改善やプライシングの見直しによる利益率の改善などにより達成可能だ。バリュエーション・マルチプルが変動するメカニズムはより複雑であるが、重要なのは投資家の期待値を丁寧に把握した上でそれを事業・財務戦略に反映することや、IRを通じた対話だ。...

■ ボストン コンサルティング グループ(BCG)

■ 筆者略歴

加来 一郎(かく・いちろう)
ボストン コンサルティング グループ (BCG) 東京オフィス シニア・パートナー&マネージング・ディレクター。

慶応義塾大学経済学部卒業。住友商事、外資系コンサルティングファーム、PEファンドを経てBCGに入社。BCGプリンシパルインベスター&プライベートエクイティグループのアジア・パシフィック地区リーダー、同コーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。戦略策定・買収プロセス・買収後の価値創出を約20年にわたり支援。

坂上 隆二
(さかうえ・りゅうじ) 

ボストン コンサルティング グループ (BCG) 東京オフィス パートナー&アソシエイト・ディレクター。京都大学法学部卒業。パリ第二大学国際関係学修士、仏国立行政学院(ENA)国際行政課程修了。外務省を経てBCGに入社。BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループおよび同プリンシパルインベスター&プライベートエクイティグループのコアメンバー。企業価値向上に向けた戦略策定やM&A/PMIの実行を支援。



Gregory Rice
(グレゴリー・ライス) 

ボストン コンサルティング グループ (BCG) ニューヨーク・オフィス パートナー&ディレクター。ヴァンダービルト大学経済学部卒業。BCGコーポレートファイナンス&ストラテジーグループのコアメンバー。アクティビスト対応および企業価値向上支援のエキスパート。 投資銀行およびヘッジファンドで30年を超える経験を積んだのち、BCGに入社。

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加来 一郎(ボストン コンサルティング グループ 東京オフィス パートナー&マネージング・ディレクター)
Jody Foldesy(同ロサンゼルス・オフィス パートナー&マネージング・ディレクター)
Gregory Rice(同ニューヨーク・オフィス ディレクター)

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