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[【企業変革】価値創造経営の原則と実践(マッキンゼー・アンド・カンパニー)]

(2021/06/30)

【第7回(最終回)】価値創造とシナジー

野崎 大輔(マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社 パートナー)
呉 文翔(マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社 アソシエイト・パートナー)
<この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます>

 成長の一つの手段として買収が挙げられる。企業は何らかのケイパビリティを自前で獲得するのではなく、買収を通じて入手することができれば、それは時間という貴重な経営資源を節約することになるため有効である。特に戦略的意図に沿って小型の買収を繰り返している企業は株主に対するリターンが大きいことが知られている [1]。このように買収をうまく活用すると価値創造につながり、企業経営においては常に一つの手段として視野に入れておくべきといえる。

【シナジーが買収を正当化する】

 価値創造の観点から、買収を正当化するためには、買収価格以上の価値を買収者が享受する必要があり、それは本質的観点からするとシナジーの創造である [図1]。もちろん理論上は、対象会社が過小評価されており、買収価格が本源的価値を下回っており、そのアービトラージだけでシナジーがなくても価値を享受できる場合もある。そのため、シナジーがなかったとしても価値を享受することは可能ではあるが、投資を本業としていない企業であれば、価値創造の観点で買収を正当化するのは原則としてシナジーであるという前提でいるべきだろう。また、シナジーのうちの一部は買収プレミアムという形で売り手に支払われるため、シナジーを創造するだけでは不十分であり、プレミアムを上回るシナジーが必要である。


 [図1]


【シナジーには種類がある】

 一般にシナジーというと、クロスセルや本社機能の統合によるコスト削減などが想像されることが多いが、三つの領域で三つの階層が存在する [図2]。まず領域に関して説明する。一つ目の領域は売上高、二つ目はコスト、そして三つ目は資本である。最初の二つは一般的に想定されるが、それに加えて三つ目の資本の在庫や設備投資の効率化なども視野に入れるべきである。特に日本に価値破壊企業が多く存在する理由は、投下資産の効率性に課題があるため、買収時には資本の効率性向上もシナジーに含めて検討するべきである。

 [図2]
 

 つづいて、階層について説明する。

....

マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社

■筆者略歴

野崎 大輔(のざき・だいすけ)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社 パートナー

日本における戦略・コーポレートファイナンス研究グループのリーダー。
M&A、合弁事業立ち上げやその他のパートナーシップ締結、事業統合マネジメント、戦略立案、次世代リーダー育成など、幅広い分野に従事。日系企業のM&Aプロジェクトのプロセス全般における支援のほか、製造業、資源・エネルギー、消費財、ヘルスケア、戦略的投資家、機関投資家など、幅広いクライアントに関わる数多くのプロジェクトに従事。Kohlberg Kravis Roberts (KKR) およびゴールドマン・サックスでの勤務経験を持つ。

東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。



呉 文翔(くれ・ぶんしょう)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社 アソシエイト・パートナー

ポートフォリオ戦略、企業買収や事業売却などのコーポレートトランザクション、統合マネジメント、投資先企業の事業価値向上施策立案など豊富な専門的知見を活かして主にプライベートエクイティファンドや総合商社のクライアントにコンサルティングを提供。資源・エネルギー、電力、消費財、ヘルスケアなど、幅広い分野において数多くのプロジェクトに従事。
2015年からマッキンゼーの東京オフィスに参画。マッキンゼー入社以前は三井物産にてエネルギーセクターでの事業投資案件に従事し、数多くのクロスボーダーM&A案件を担当してきた経験を持つ。
慶應義塾大学法学部法律学科(学士)卒業/ハーバード大学経営学修士(MBA)修了。


柳沢 和正(やなぎさわ・かずまさ)
マッキンゼー・アンド・カンパニー 日本支社 パートナー(寄稿記載当時)

日本におけるプライベートエクイティ・プリンシパルインベストメント研究グループのリーダーとして、プライベートエクイティおよび商社の成長戦略、M&A戦略、ビジネス・デューデリジェンス、買収後のバリューアップ、売却などのコンサルティングサービスを提供。加えて製造業企業から消費財企業まで幅広いクライアント企業に対して戦略立案やコーポレートファイナンスに関するコンサルティングサービスを提供。
東京大学工学系研究科修士課程修了。





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