この「
Q&Aで学ぶM&A実務基礎」は、M&A実務やそれを学ぶ上で必要となる基礎知識をQ&A形式で不定期に解説するものです。以下の①から④の中でよくある質問・疑問について、有力な専門家に解説していただきます。内容によってはレコフデータの編集部と人材育成塾企画チームが解説することもあります。
① M&A実務
② マールオンラインの記事
③ MARRセミナーやM&Aフォーラム人材育成塾
④ 実際に公表されたM&A案件
2022年6月に公表された「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告」(DWG報告)を受けて、2024年4月1日付で「企業内容等の開示に関する内閣府令」(以下「改正府令」)が改正・施行されます(注)。
改正項目のうち、今後、上場企業に対応が求められることになる①「企業・株主間のガバナンスに関する合意」と②「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」(改正府令とは別に、①の契約の締結又は変更が臨時報告書の提出事由に追加される旨の改正案も公表されています(*2)
令和5年金融商品取引法等改正に係る政令・内閣府令案等の公表について:金融庁 (fsa.go.jp))、
③「財務上の特約の開示」の3点は、M&A関係者の注目度が高いテーマとされます。しかし、肝心の改正の概要、実務への影響がどの程度あるのか、いつまでにどのような準備をしておけばよいのか等について、腹落ちがしないという方は決して少なくないのではないでしょうか。
そこで、当該内閣府令の改正に関連し、三浦法律事務所の峯岸健太郎弁護士、山口亮子弁護士に、よくある疑問について解説・回答していただきました。
「企業・株主間のガバナンスに関する合意」
質問1
この開示(「企業・株主間」の①ガバナンスに関する合意と②株主保有株式の処分・買増し等に関する合意)のどの点がM&Aの実務とどのように関連するのかが分かりません。どのような改正項目がM&A実務との関連性が深く、かつ影響を与えることになると考えられるのでしょうか。
質問2
「企業・株主間のガバナンスに関する合意」が締結されている場合、2025年以降は上場企業にはその開示が求められることになるとのことです。まず、今回の制度改正の概要を教えて下さい。また、「企業・株主間のガバナンスに関する合意」とは何を指すのでしょうか。
質問3
具体的に「開示対象になる合意」とは契約書がある場合に限られますか。
質問4
この開示は、日本のM&Aを促進するという観点からはプラスになるのでしょうか。開示の透明性が増すことで、情報開示が増え、DDがしやすくなるような効果があるものでしょうか。
質問5 上場会社の株式を
公開買付けにより50%超取得し、連結子会社化したとします。この場合、親会社から役員の過半数を選任するという合意をすると、開示対象になりますか。または逆に、子会社の独立性維持のため親会社から役員の過半数を選任しない、という合意をした場合はどうですか。
質問6
上記の例で、連結子会社化後に、一定金額以上の設備投資やM&Aは、親会社の承諾が必要である旨の合意をしたとすると、開示対象になりますか。親会社グループの権限規程で、同様に一定金額以上の設備投資やM&Aには親会社の経営会議等での承認が必要である旨が定められていた場合、開示対象になりますか。
また、独立性維持や、グループ規程違反を避けるために、上記のグループ規程が存在する中で、当該子会社はグループ規程を適用しないという合意をした場合、開示対象となりますか。
「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」
質問1
「企業・株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意」について、その概要を教えて下さい。
質問2
上場企業が、5%超の株式を持っている大株主から非公表の買収提案を受けました。取締役会としては、この提案を検討するために当該大株主との間で一定期間の検討期間を設定し、この期間は買増しをしない旨の合意をしました。この場合開示は必要ですか。
質問3 PEファンドが公開買付けにより51%の株式を取得し、
非公開化はせず上場維持をしました。PEファンドは、現経営陣との間で、当該株式の
EXIT時には株式の売出し、または経営陣と協議や合意をした上で第三者への売却をするよう合意したとします。この場合開示は必要となりますか。
この合意が、PEファンドと経営陣個人ではなく、当該上場会社との間の資本提携契約で定められた場合は、開示対象となりますか。
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