[PR]

(2025/08/19)

120万社超の非上場企業を分析し、M&Aのソーシングを効率化~企業情報プラットフォーム「QFINDR」~

西家 宏典(クレジット・プライシング・コーポレーション プリンシパル/博士(工学))
西家 宏典氏
西家 宏典(クレジット・プライシング・コーポレーション プリンシパル/博士(工学))
M&Aマーケットが活況を呈する一方で、ソーシングに悩みを抱えるPEファンドや事業会社のM&A担当者は少なくない。特に、非上場企業に関する情報は限定的で、自社の戦略に合致する候補企業に出会うまでには多くのコストや時間が必要となる。
そうした中、実務家から支持を集めているのが、クレジット・プライシング・コーポレーション(CPC)が開発した企業情報プラットフォーム「QFINDR」だ。開発責任者の西家宏典氏に機能の詳細を聞いた。
定量・定性の両面から「良い会社」を探す

―― 「QFINDR」とは、何ができるプラットフォームなのですか。

 「『QFINDR』は、財務情報などの定量的な条件と、商材・サービスや資本構成などの定性的な条件の両方から企業を検索して、分析・評価ができる企業情報プラットフォームです。

 収録企業は上場・非上場合わせて約120万社に上り、私たちが独自の情報を付与して検索効率を向上させ、また生成AIを用いて定性的な情報を強化しながらデータベースを構築しています」

―― どのような経緯で開発されたのですか。

 「CPCは、銀行系シンクタンク出身者が2001年に設立した会社です。法人の信用リスク評価モデルの開発や統計的な技術を用いた分析を得意としていて、そのために用いる国内上場・非上場企業の様々なデータを蓄積してきました。

 信用リスクと聞くと、金融機関が与信の管理や審査をする際に『悪い会社を探す』ために使うイメージがあると思います。しかしQFINDRは逆の発想で、CPCが培ってきた技術を使って『良い会社を探す』というコンセプトと、データベースを『より幅広く使って欲しい』との想いから開発がスタートしました」

―― QFINDRと他の企業分析サービスの違いはなんでしょうか。

 「類似サービスとして最も多いのは上場企業を分析するプラットフォームです。これらに対して、QFINDRは非上場企業を検索して分析できる点が大きな違いです。

 非上場企業を対象にしたサービスにはスタートアップ系のデータベースがありますが、多くは『すでに投資が行われた会社』の情報を中心に収録していると認識しています。QFINDRはより対象が広く、『スタートアップも未投資企業も含む非上場企業』を効率的に探すことができます。

 QFINDRでは、非上場企業に対しても上場企業と同じレベルの情報量や検索性を実現していくという開発方針を掲げています」

図表1:QFINDRでは幅広い検索軸で、広範な企業を検索可能
QFINDRでは幅広い検索軸で、広範な企業を検索できます
ロングリスト作成のコストと時間を圧縮

―― QFINDRの現在のユーザー層はどうなっていますか。

 「もともと当社の顧客層だった金融機関に加え、PEファンドやアドバイザー、最近ではM&Aに積極的な事業会社の利用が増えていて、現在は40を超える企業にご活用いただいています」

―― ユーザーはQFINDRを使うことでどのような課題を解決できるのでしょうか。

 「例えば、PEファンドであれば非上場の『良い会社』を探したいというニーズがあり、投資検討に値する会社をスクリーニングしてロングリストを作ります。欲しい企業リストを都度購入するには、検索条件指定の試行錯誤の煩わしさや従量課金のコスト負担、購入以降の情報の陳腐化が課題となりますが、QFINDR は定額制で常時最新データを自由に検索でき、リスト作成にかかるストレスを軽減できます。また、多くの検索軸を持ち、『企業価値が◯億円の会社を探したい』という細かいニーズに応じた検索ができる点もリスト作成時の大きな利点になっています。

 事業会社の場合、M&A担当者のもとには日々仲介会社から候補企業のリストが届いたり、企業を紹介されたりしますが、自分たちが求める企業像に合致する企業がなかなか出てこないという課題があります。そこで『自分で細かい条件を設定して効率的に探したい』というニーズで活用いただくケースが増えています。QFINDRは検索条件が豊富なので、買収企業に対する定量的・定性的な基準が明確であるほど、それに合致する会社をピンポイントで探しやすくなります」

西家 宏典氏
AI技術も駆使して詳細な企業検索を実現

―― QFINDRではどのように企業を探し、どんな情報が得られるのか、機能の詳細を教えて下さい。

 「QFINDRは『探す』『知る』『分析する』『評価する』の4つの機能を通じて『良い企業』の情報にアプローチすることが可能です。中でも特に力を入れているのが『探す』機能で、定量的な検索軸と定性的な検索軸の両面から、80以上の検索条件をカバーしています。

図表2:QFINDRの多彩な検索条件
QFINDRの多彩な検索条件
 定量的な検索軸では、業種や地域での検索はもちろん、売上高、営業利益、EBITDAなどの財務情報は3期前まで遡って検索できます。また、それらを組み合わせた営業利益率や自己資本比率といった財務指標、CPCが独自に算出する信用リスク指標からもスクリーニングが可能です。

 定性的な検索軸では、フリーワードやタグを使った検索に特徴があります。QFINDRのデータベースでは120万社の法人番号と企業のwebサイトが紐づいていて、webサイトの情報をテキストデータ化し、AIによる自然言語処理技術などを用いて検索に対応する情報を整備しています。

 フリーワード検索では社名・業種・地域や扱う商材・サービスに関して、webサイトの情報を網羅的に検索することも可能ですし、企業概要のテキスト情報のみを参照し、いわゆる『中核事業』に絞った検索もできます。これを『含む/含まない』『AND/OR/NOT』の検索と組み合わせることで、『食品物流が主要事業だが、野菜ではなく魚介が対象で、アジアを除く海外に展開している企業』のような、非常に細かい条件が設定できます。

 タグ検索では、企業のwebサイトから抽出したテキストデータをもとに、商材・サービスに関連する約10万種類のタグ情報を収録しています。これは、PEファンドやM&Aアドバイザー会社から寄せられた『“食料品製造業”のような業種レベルではなく、ピンポイントで“わさび”を扱う会社を探したい』との要望に応えた形です。

 類似タグの推奨機能も備えています。例えば、『リチウムイオン電池』のタグを選ぶと、『蓄電池』や『バッテリーパック』などの類似するタグが提案されます。これらを自由に組み合わせることで、周辺商材・サービスを含めた検索をサポートします」

図表3:用途に応じた検索方法
用途に応じた検索方法
―― M&Aの観点で特徴的な検索軸はありますか。

 「よく使われているものの1つに、取引銀行名があります。この検索軸のメリットは、自社と付き合いのある銀行を経由して対象企業にアプローチができる点です。また、潜在的な事業承継ニーズを抱えている企業を見つけるために、株主名や代表者年齢での検索も使われています。

 ほかには、ロールアップ投資を検討する際、取引先や販売先、仕入れ先などの検索軸を使って既存投資先とサプライチェーンが共通する企業を探すことで、よりシナジーを発揮しやすくするといった使い方もあります。

 このように、PEファンドやM&Aに積極的な事業会社にとって使い勝手の良い検索軸が揃っています」

非上場企業の価値を複数手法で算出

―― 「知る」や「分析する」機能にはどんな特徴がありますか。

 「『知る』機能では、企業概要などの定性情報と財務情報を集約した『企業評価レポート』を出力できます。これは対象企業の事業や財務状況が一目で理解できる形式になっています。

 このほかにユーザーからの評価が高い機能として、ChatGPTを用いた企業分析があります。これは、財務情報やwebサイトのテキストデータを元にAIがリアルタイムで企業の概要や業績の概況、収益モデルや顧客層などを文書化し、M&A検討時の『仮説立て』を支援する機能です。

 当初この機能については、『所詮AIが作ったものだろう』という否定的な反応を予想していたのですが、PEファンドをはじめプロフェッショナルの方々から好評を得ています。プロの方々もすべての会社を把握しているわけではないので、『どんな会社で、どんな課題があるのか』の頭出しなどでご活用をいただいています。

 『分析する』は我々の専門分野なので、売上高や営業利益、EBITDAなど主要財務数値の時系列推移に加えて、CPCの信用リスク評価モデルによる推定デフォルト率や独自格付などが確認できます。さらに、対象会社の財務指標が業種平均と比較してどの位置にあるのか、業種全体の売上高、営業利益の構成比率や時系列推移も素早く把握することができます」

―― 4つ目の「評価する」機能は、何ができるのでしょうか。

 「M&A実務家の方々にとって特に重要な要素である『企業価値』を効率的に把握することが可能です。QFINDRで財務情報を収録している約20万社に関しては、買収価格の基準になる企業価値を市場倍率法に加え、簡易DCF法と相続税法上の観点でも算出し、『対象会社のバリュエーションはどの程度か』を複数の視点から素早く分析できます。

 なお、非上場企業のバリュエーションにあたっては、比較対象となる類似企業の選定が重要なポイントです。QFINDRでは業種等でスクリーニングされた上場企業群の中から比較対象企業をユーザーが選択でき、それが対象企業のバリュエーションにも即座に反映されます」

図表4:QFINDRを用いた企業価値評価
「評価する」機能
―― PEファンドやM&Aに積極的な企業であれば、すでに社内にバリュエーションのノウハウが蓄積されているのではないでしょうか。

 「ユーザーの方々にお話を伺うと、独自のバリュエーションメソッドをお持ちのケースは多いようです。QFINDRでは企業価値評価のパラメーターである『EV/売上』『EV/営業利益』『EV/EBITDA』『PBR』『PER』『WACC(加重平均資本コスト)』などを一覧で確認できますが、これらはCSV形式でダウンロードが可能なので、各パラメーターを自社のバリュエーションメソッドにそのままお使いいただけます。

 このほかに、評価機能の1つとして公開買付け(TOB)のデータも収録しています。TOB価格にどの程度のプレミアムがついてどんなマルチプルが使われたのか、DCFのWACCや割引率がどうだったのかなどを検索できます。これらはTOBに限らず、M&A実施時に『どれくらいのプレミアムをつければいいのか』『同業界ではどれくらいの割引率が使われているのか』を考える際のベンチマークとしてもご活用いただけると考えています」

西家 宏典氏
QFINDRを通じて『良い会社』に資金を向ける

―― QFINDRに対するユーザーの反応はいかがですか。

 「時間やコストがかかっていたソーシング作業やリスト作成を、低コストかつスピーディに行える点は大変好評です。

 ほかにもご評価をいただいているのが、QFINDRがクラウドで運用されていて、24時間いつでも検索してリストを出せる点です。例えば調査会社を使う場合は営業時間中に依頼を出す必要がありますし、リストが届くまでに数日のタイムラグが生じるケースもあります。特にPEファンドや事業会社のM&A担当者の皆さまはお忙しい方が多いので、タイミングを選ばずに使える点が評価されています。

 また“チラ聞き”した会社の詳細を素早く確認したり、バイネームで探したりできる点にも高いニーズがあります。『QFINDRでどんな会社なのかをクイックに把握した上でミーティングに臨む』といった形で使われるケースも多いようです」

―― 今後、機能拡張の予定はありますか。

 「ユーザーから寄せられる要望については、開発チームと相談しながら可能な限り早く機能としてリリースすることを目指しています。直近ではユーザーの社内システムとのAPI連携に対する要望が寄せられているので、リリースに向けて準備を進めている最中です。合わせて役員一覧や子会社・関係会社・営業所など、定性的な検索軸の拡充も進めていきます」

―― 最後に、M&Aに携わる方々へのメッセージがあればお願いします。

 「QFINDRを通じて、国内にはまだ多くの『良い会社』が存在することを知ってもらえたら嬉しいです。実は、QFINDRの『良い会社を探す』というコンセプトの裏側には、『より良い会社にお金が流れていく』『お金が流れるべきところに流れていく』という、一種の金融機能を目指していきたいという考え方があります。

 QFINDRが勢いのあるスタートアップや上場企業だけではなく、『いぶし銀』の中堅・中小企業に投資が行われ、大切な技術が消えないように事業承継がされていく一助となることを願っています」

■西家 宏典(にしいえ・ひろのり)
東京理科大学理工学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了、横浜国立大学環境情報学府 博士課程修了 博士(工学)
日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)
金融系SIerにて計量アナリストを勤めた後、CPCに参画。主な著作に「従業員口コミを用いた企業の組織文化と業績パフォーマンスとの関係」(2018年) (2018年度証券アナリストジャーナル賞)、「従業員口コミを用いた働きがいと働きやすさの企業業績との関係」(2019年) (JAFEEジャーナル)がある。

クレジット・プライシング・コーポレーション

https://qfindr.jp/

(株)クレジット・プライシング・コーポレーションは、2001年の創業以来、金融領域を中心に、金融商品およびその発行体の評価とリスクマネジメントに係るロジックやデータの提供を行っている会社です。有意義なところへ必要な資源(資金、人材等)が行き渡ることを正確な価値や情報の把握とリスクの評価、コントロールを通じて、支援しています。


<お問い合わせ先>
Mail:qfindr_sales@credit-pricing.com

バックナンバー

おすすめ記事

アクセスランキング