[M&A実務におけるAI実装の現場を知る]

(2025/08/27)

第1回  EY-M&A実務家と開発者が深く連携しチームアップ

濱島 安志(EYストラテジー・アンド・コンサルティング トランザクション・アンド・コーポレートファイナンス リーダー)
鈴木 紘(同 トランザクション・アンド・コーポレートファイナンス 副リーダー)
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左から、鈴木紘 氏、濱島安志 氏

左から、鈴木紘 氏、濱島安志 氏

この不定期連載シリーズでは、M&Aに関連する組織やM&A専門家において、AI実装がどのように進んでいるのかを紹介する。海外では、デュー・デリジェンス(DD)、バリュエーション、PMIなどM&Aの各フェーズで、実務を下支えする形でAIツールが日常的に使われはじめているとされる。日本のM&A実務においては、今後どのようにAIが実装されていくのだろうか。
第1回目となる本稿では、EYの事例を取り上げる。グローバル展開するEYでは欧州(ロンドン)のチームが主導してAIツールを開発・展開し、現場のニーズを反映した「業務の相棒としてのAI活用」の展開が進められている。現状、そして将来においてM&A実務でAIの活用がどう進んでいくと考えられるのかを聞いた。
EYにおけるAIツールの開発及び活用状況

―― M&A業務にAIがどう活用されているのか、自社での開発・導入の現状をまず教えてください。

濱島 「EYでは、欧州(ロンドン)の専門チームがAIツールの開発を主導しています。すでにメンバーが使っているものもあれば開発中のものもありますが、業務における活用度合いという観点では北米及び欧州が先行しており、日本を含むアジアはまだ低い状態にあるというのがEYにおける現状です」

鈴木 「日本における活用度合いが低い最大の理由は言語の壁だと思っています。EYで使用しているAIツールはすべて英語です。なかには我々だけではなく、お客さまと一緒に使うツールもあるので、日本語対応が十分にできていないというところが日本における活用度合いの低さの一因になっています。ただ、昨今のAIの進化により、言語の壁自体がなくなってきているという面もあるので、近いタイミングでこの問題はかなり解消されると思っています」

―― 欧米においてはM&A実務のそれぞれどの部分で、具体的にどのようにAIが使われているのですか。


■濱島 安志(はましま・やすし)
監査法人において会計監査を担当後、投資・コンサル会社を経てEYトランザクション・アドバイザリー・サービス株式会社(現 EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社)に入社し、財務DD業務に従事。2011年から2013年に英国駐在。財務DDチームの統括パートナーを経て、2025年7月より現職。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング トランザクション・アンド・コーポレートファイナンスリーダー パートナー

■鈴木 紘(すずき・ひろし)
国内メガバンクを経て2005年にEYに入社。リストラクチャリング部門を経て、バリュエーション、モデリング&エコノミクス部門にてM&A関連の評価業務に従事。フェアネスオピニオンやTOB価格、株式交換比率など多岐にわたる案件を担当。
EYストラテジー・アンド・コンサルティング トランザクション・アンド・コーポレートファイナンス 副リーダー パートナー

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