[押さえておきたい新時代のM&A~M&Aにおけるデータ&アナリティクス活用]

2025年9月号 371号

(2025/08/12)

事業価値向上に向けて(前編)

渡辺 麻紀子(KPMG FAS 執行役員 パートナー)
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はじめに

 今や、M&Aにおけるデータ&アナリティクスの活用は、企業価値を高めるための重要な要素である。一方でただやみくもにデータを集めるだけであったり、データ&アナリティクスの利用自体を目的としたりするのでは意味がなく、戦略的なイネーブラーとして使いこなすことが肝要である。なお、ここでいうイネーブラーとは、戦略立案、施策検討、オペレーション改善といった、企業価値向上を目的とした様々な活動を支え、企業価値向上を達成するための手段や仕組みとして活用することを指している。

 我々は「データ&アナリティクス」について、デジタル化された記録・情報などの様々な「データ」を、加工・分析し、パターンや示唆を導き出すプロセスである「アナリティクス」を通して意思決定や価値創出に活かす取り組み全般であると捉えている。例えば、過去データの分析から“今まで見えなかった事実や傾向”を明らかにしたり、“将来何をするとよさそうか”を予測やシミュレーションしたりすることである。

 そのデータ&アナリティクスをイネーブラーとして活用するには、専門技術の知見とビジネスへの応用力が求められる。データ&アナリティクスの領域は進化のスピードが速く、使用データ、アナリティクス手法、ともに最適なものが日々変化している。


■筆者プロフィール■

渡辺 麻紀子(わたなべ・まきこ)渡辺 麻紀子(わたなべ・まきこ)
KPMG FAS 執行役員 パートナー
2014年KPMG入社。データの利活用や先進的アナリティクスを応用したソリューション創発とデリバリーを展開するクライアントバリューアナリティクスチームを統括。 FAS業界にて15年以上、財務・ビジネスDDからバリュークリエーションや事業戦略策定支援まで、多種多様な業界業種に対してM&Aや事業変革の場面におけるアドバイザリーサービスの経験を有する。国内FAS業界内でいち早く立ち上げたKPMG FASデータ・アナリティクス専門チームの創立メンバーであり、KPMGロンドンオフィス出向経験を生かしたグローバルソリューションの活用や前職小売企業での業務改善や製造企業の財務部での実務経験も踏まえ、クライアントに価値あるインサイトを導出するデータ&アナリティクスソリューションの進化をリードし続けている。

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