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[【小説】経営統合の葛藤と成功戦略]
2013年6月号 224号
(2013/05/15)
山岡ファイナンスサービス社と渋沢ファイナンスコーポレーション社では、従業員の間にも半年後に迫る経営統合の当事者意識が徐々に芽生えつつあった。
一方山岡FS社では、経営統合準備と並行し水面下で大規模な構造改革が迫られていた。プランが大詰めを迎えつつある中で、統合推進事務局長の松尾明夫は、その発表が与える従業員への影響を懸念していた。
芽生え始めた当事者意識
山岡FS社の統合推進事務局長である松尾明夫は、渋沢FC社との経営統合準備に日々追われていた。具体的な経営統合計画が社内外に発表されたこともあり、各領域では抽象的な総論に終止符が打たれ、きわめて実務的な各論レベルでの討議が本格化していた。これまで本社内で完結していた統合準備作業はすそ野を広げ、まさに両社の全階層が経営統合を意識し準備に邁進するステージに入ったのだ。
大きな車輪がようやく回り始めた感があり、各専門部会は自律的に協議を進めるようになっていた。数カ月前の深刻な対立モードが完全に払拭されたわけではないが、両社の従業員の中で何かが変わろうとしていた。経営統合を自らの現実として直視し、従業員それぞれの中で当事者意識が芽生え始めてきたのだ。
対外発表の効用
合併白紙という危機を迎えた中で、両社社長がトップダウンで新たな統合計画を描き出し、そして自らの言葉で社内を丁寧に説いて回ったことが奏功したのかもしれない。しかしそれ以上に、多くの従業員には対外発表の影響が大きかったのではないかと松尾は感じていた。
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