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[Webインタビュー]

(2021/05/26)

【第127回】グローバル調査で明らかになった「経営者がポストコロナで考えているM&A戦略」

―― 高い買収意欲、戦略的優先事項とは

梅村 秀和(EYストラテジー・アンド・コンサルティング* 代表取締役)
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グローバル経営層のM&A及び投資に関する意識を調査

―― アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young、以下EY)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の中で、日本を含めたグローバルな経営者がM&Aおよび投資に関してどのような意識を持ち、今後どのどのような戦略を描いているのかに関する「グローバル・キャピタル・コンフィデンス調査」を行いました。まず調査の目的、対象等の概要を教えてください。

「この調査は、経済見通しに対する企業の信頼度を数値化し、経営層がキャピタルアジェンダ(出資・買収、アライアンス、事業売却、組織再編、等の経営資源に関する課題)の管理傾向と手法を明らかにするためのもので、今回が23回目になります。今回は2020年11月から2021年1月にかけて、ソート・リーダーシップ・コンサルティングがEYの代理として、52カ国2400人以上の経営層を対象に調査を行いまして、そのうち82%がCEO、CFO、その他の最高責任者レベルの経営層です。

 回答者のセクターは金融サービス、テレコム、消費財・小売、テクノロジー、メディア・エンターテイメント、ライフサイエンス、病院・ヘルスケア提供者、自動車・運輸、石油・ガス、電力・公共事業、鉱業・金属、工業、先進的製造業、不動産・ホスピタリティ・建設。調査対象企業の年間の全世界売上別構成は5億米ドル未満(25%)、5~9億9990万米ドル(26%)、10億~49億米ドル(25%)、50億米ドル以上(24%)となっていまして、グローバル全体の内訳は上場企業(60%)、株式非公開企業(40%)となっています」

守りから積極的な攻めに

―― 前回と比較してビジネスリーダーの自社業績に対する意識に変化はありますか。

「前回の調査(2020年2月~3月)は新型コロナ禍が激化する前に行われていますので、単純に比較はできませんが、ビジネスリーダーの自社業績に対する意識は、前回の調査と比較すると改善しています。今回の調査に回答した日本企業の経営層の回答を見ましても、経営者のうち14%が2021年に収益が新型コロナ危機以前のレベルに回復すると見ていますし、48%が2022年に回復すると見ています。また、グローバルでも感染拡大防止対策と経済活動再開対策とのバランスに加えて、ワクチンの普及などで経営のかじ取りに成功の兆しを見いだせるようになった現在、積極的な成長戦略に意識がシフトしています。それに伴って、M&Aおよび投資に関する戦略についても、守りから積極的な攻めに転じるというところまで回復していることが読み取れます」

成長を脅かす要因と、今後成長機会がある事業分野

―― 成長を脅かす要因と、今後成長機会がある事業分野についてはどうですか。

「日本企業の経営層が、将来の成長を脅かす要因として挙げているのは、やはり新型コロナウイルス感染症の影響で、19%を占めてトップとなっています。そのほかの脅威としては、世界の経済環境の変化(13%)や気候変動(15%)が挙げられています。また、日本企業の経営層の88%は地政学上の問題に起因して、過去1年間で戦略的投資計画の見直しと、事業ポートフォリオやオペレーションの改善機会の包括的な精査・見直しを行ったと回答しています」

―― 地政学上の問題による戦略的投資計画の見直しをおこなっているということですが、今後魅力を感じている地域としてはどのようなところが挙げられていますか。

「『今後3年間で最も成長機会をもたらす地域はどこか』という質問に対して、グローバルな経営者はヨーロッパが39%、APAC(アジア太平洋)が30%と答えているのですが、日本の経営層は日本国内が52%、ASEAN(東南アジア諸国連合)が25%を占めています。ちなみに前回の調査では、グローバルな経営層も含めて日本、米国、中国、インドという順でした。そういう意味では、グローバルな経営層と日本の経営層が期待している地域が変わってきています。恐らくグローバルな経営層は新型コロナ禍で落ち込んだヨーロッパ市場のリカバリーに大きな魅力を感じているのではないかと見ています。

 一方で日本の経営層は、これからのターンアラウンド(事業再生)を視野に入れて国内マーケットに対する魅力と、ASEANを中心としたアジア市場での成長を引き続き考えているということが言えると思います。さらに、今後の魅力的な投資先としてインドが挙げられています。RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership Agreement:地域的な包括的経済連携協定)には不参加だったインドですが、協定発効後に参加する可能性もあります。そうなれば若年層の人口の多さのみならず、その市場の多様性は日本企業にとっても大きな成長の機会をもたらす最重要地域となるでしょう」

最大の戦略的な検討課題
...


■うめむら・ひでかず
国内証券会社で株式アナリスト業務に従事後、1998年アーンスト・アンド・ヤングに入社。2020年7月1日にEY Japan リージョナルストラテジー・アンド・トランザクションリーダーに就任。2020年10月EYストラテジー・アンド・コンサルティング発足時に同社の代表取締役に就任。



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