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(2024/04/04)

大正製薬のMBOに批判くすぶる――PBR1倍割れで非上場化

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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大正製薬ホールディングス(HD)が3月18日に実施した株主総会では、MBOに伴う株式非公開化の是非を諮る議案に対し、アクティビストら一部株主から批判が相次いだという。8割を超える賛成票を集めて議案は承認されたが、買収価格に不満な株主は法廷闘争に持ち込む構えをみせている。

「上場継続の意義薄れた」

 大正製薬HDのMBOの計画は公開買付者である創業家一族から2023年11月24日に公表された。買付価格は1株8620円で、2023年11月27日から2024年1月15日までTOB(公開買付け)を実施し、その後、臨時株主総会を開催して、買付けに応じなかった株主の排除(スクイーズアウト)を決める予定だった。

 買付総額が7000億円を超える大型MBOで、11月10日には教育分野の著名企業ベネッセホールディングスがMBOの計画を公表したばかりでもあり、市場関係者は「大型MBO時代に突入した」と色めきだった。東京証券取引所が2022年4月に市場区分を変更し、規制強化に踏み出したため、上場をし続ける意義を天秤にかける企業が増えるのではないかとの見方も出ていた。

 実際、大正製薬HDのMBOでは創業家一族の上原明社長と上原茂副社長は、MBOの実施を打ち出した公表資料で、株式上場の意義について「近年、当社グループにおける株式の上場を維持するために必要な費用(継続的な情報開示に要する費用、株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用等)が増加しており、今後、当該コストは当社グループの経営上の更なる負担となる可能性があると考えている」と述べた。

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■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。 22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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