[Webマール]

(2024/08/21)

安定株主の減少で重要性が増す 企業防衛に向けた取組み

西本 強(日比谷パーク法律事務所 パートナー 弁護士)
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西本氏
政策保有株式の縮減が進み、安定株主が大きく減ったことにより、日本企業がアクティビストの標的や同意なき買収の対象となる可能性が高まりつつある。経営陣はアクティビストに対してどのように向き合っていくべきか。また、同意なき買収に備えて、どのような取組みが必要か。これまでに多くの企業買収やアクティビスト対応に関わってきた経験を持ち、『企業買収行動指針を踏まえた戦略的企業防衛』(商事法務、2024)の著者でもある西本強弁護士に聞いた。
資本コスト経営の浸透と株主総会

―― 2024年6月の株主総会を振り返ってみて、変化は感じましたか。

「2023年3月に東証が『資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応』の要請を公表して以降、企業には株価や資本コストに対して強い意識を持つことが求められています。株主総会においても『株価は市場が決めるものです』といった紋切型の答弁はもはや通用しません。特にPBRが1倍割れしている会社は、どうやって株価を上げていくのか、株主総会できちんと経営者の考えを述べざるを得ない状況になりました。取締役会においても、業績が上がっているのに株価は上がっていない原因について議論したり、役員に対する評価項目に資本コストに関する指標を反映したものが設定されたりするなど、まさに東証からの要請を踏まえて現場においても資本コストや株価を意識した経営に大きく変化しています。

 また、株主提案の数が過去最多となり、その内容も増配や自社株買いなどの株主還元を求めるだけでなく、



西本 強(にしもと・つよし) ■西本 強(にしもと・つよし)
日比谷パーク法律事務所 パートナー 弁護士 1999年東京大学法学部卒業。2000年弁護士登録。2006年米国コロンビア大学ロースクール修士課程修了(LL.M.)。2007年ニューヨーク州弁護士登録。
企業買収・組織再編、コーポレートガバナンス、企業法務に関連する訴訟・紛争処理について豊富な経験を有しているほか、システム開発に関連する契約・紛争処理、エンターテインメント法やスポーツ法についても取り扱っている。
著作:『企業買収行動指針を踏まえた戦略的企業防衛』(商事法務、2024)、『2024年 株主総会の準備実務・想定問答』(共著)(中央経済社、2024)ほか多数。

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