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[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2018/11/21)

ベトナムの製薬業界②

谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)

  2014年1月10日、政府による「2020年までの医薬品産業開発国家戦略および2030年までのビジョン(Decision No.68/QD-TTg)」が公布され、医薬品産業に対して以下の5つの重要なタスクが設定された。

1.信頼できる品質かつ適切な価格、国民の予防・治療の需要への対応、疾病に関する医薬品の充分な提供、安全保障・防衛・自然災害・伝染病・他の緊急的な要求への迅速な対応。
2.ジェネリック医薬品の生産開発投資に注力できる体制、及び、医薬品の適切な品質及び価格を確保、段階的な輸入医薬品の切り替え。
3.専門化・最新鋭化に向けた医薬品産業の振興。専門化・最新鋭化・標準化された医薬品流通・供給システムの開発。
4.医薬品の適切かつ安全・効果的な活用。臨床薬学や薬剤監視に関する活動の推進。
5.医薬品の製造、輸出、輸入、保管、流通、配送から使用までの全ての段階の厳格かつ効率的な管理。

  また、2020年まで達成すべき目標の具体的な内容は以下のように示されている。

1.予防・治療の需要に対するタイムリーな医薬品の提供。
2.国内医薬品に対する原料の需要に対する国内対応率20%。国内生産医薬品の量は年間消費医薬品総額の80%。
3.生物学的同等性(BA/BE)の評価をされた登録番号を有する国内生産及び輸入ジェネリック医薬品率40%。
4.Good practice基準を満たす医薬品デリバリーシステム上の医薬品事業企業率100%。
5.臨床薬学の部門を設置している中央病院、地方(県レベル)病院率50%。臨床薬学の活動をおこなう地方病院・民間病院率50%。
6.国民1万人当たり薬剤師2.5人。うち、臨床薬剤師が30%。

  ベトナムの医薬品の市場規模は32億USD(2014年時点で世界第35位)で、病院市場が約67%、小売市場が約33%を占める。アジアでは、日本、中国、韓国、インドネシア、タイに続く規模であり、日本の市場規模のわずか5%未満であるものの、経済成長による所得増加、医療保険適用範囲の拡大等により、今後数年間も引き続き成長が見込まれる。


  2016年に制定された新薬事法では、各地域の予算などの公的資金で調達される医薬品について、ベトナム国内で製造されたジェネリック医薬品や初めて販売認可されるバイオ後続品の購入が優先されるとある。また今後、ベトナム国内で製造できる医薬品リストが発行されると、同リスト記載の医薬品については、公立医療機関においては輸入品を購入してはいけないこととなる。

  ベトナムには約200~300の国内製薬企業があり、ローカル製薬企業の多くは国営企業でジェネリック医薬品の製造をおこなっている。

  ベトナム国内シェアトップのフランスのSanofiは、2016年3月にベトナム保健省MOH直轄のVINAPHARMと戦略提携を発表し、国内シェア18位のドイツのSTADAはKhuong Duy Pharmaceuticalと提携するなど、それぞれ、ベトナムでの地盤をより強固なものとしている。

  また、医薬品生産については従来、外国人に対する投資制限(FOL)(銀行30%、銀行以外49%)があったものの、2016年8月、外国資本に対する49%の上限が廃止された。これにより、外国資本は100%まで保有が認められているが、現状は、ローカル企業の申請ごとにFOL撤廃が認可されている。2016年9月にDomesco(DMC)がFOLを撤廃してアメリカのAbott Laboratoriesが持分比率を51.7%としたのを始めとし、2016年7月に日本の大正製薬が24.5%の出資をおこなったHau Giang Pharmaceutical(DHG)も2018年1月にFOLを撤廃した。大正製薬は2018年8月にDHGの持分を32%まで引き上げている。


株式会社ワールディング

株式会社ワールディング
TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。

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