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[【クロスボーダーM&A】ベトナム投資の基礎知識 [ベトナムマーケット概要](ワールディング)]

(2018/02/14)

ベトナムのクレジットカード業界

 谷口 正俊(株式会社ワールディング 代表取締役社長)

  2017年12月、クレジットカード大手のJCBは、ベトナムの携帯電話大手のVnpt Vinaphone Corporation及び同国大手国営金融機関のVietinbank(ベトナム工商銀行)と提携し、共通ポイント一体型クレジットカードの発行を開始した。ベトナム国営通信企業グループVNPTの参加である。JCBは1991年からベトナムに加盟店契約事業で進出し、2011年のVietinbankを皮切りに、Vietcombank(ベトナム外商銀行)、Sacombank(サイゴン商信銀行)、Eximbank(ベトナム輸出輸入商業株式銀行)、Asia Commercial Bank、Agribank(ベトナム農業農村開発銀行)、Techcombank(ベトナム技術商業銀行)、Militarybank(軍事銀行)との提携で約40万枚超のクレジットカードを発行しておりシェアは約10%超、2017年12月にはKienlongbankともカード発行について協力契約を締結するなど、積極的に展開している。

  また、2018年1月には、クレジットカード大手のクレディセゾンが、HD Bank(ホーチミン市住宅開発商業銀行)に出資することを発表した。出資額は40~50億円とみられている。クレディセゾンは2015年にHD Bankの子会社に資本参加し、HD SAISON FINANCEとしてベトナムで個人向けの二輪車用ローンやスマートフォン購入時のローンの提供をおこなっており、今回の株式取得によって、クレジットカード発行など、ベトナムにおける事業推進を加速させるという。HD Bankはベトナムのコングロマリット企業SOVICO HOLDINGSの子会社であり、クレディセゾンは、JCBがLCC大手のJETSTARと提携しているのに対し、SOVICO傘下のベトナム最大のLCC会社VIET JET AIRが抱える顧客への深耕などを視野に入れていると思われる。

  ベトナムでは、人口が9,270万人に対して、2017年6月末時点における商業銀行のカード発行枚数が1.2億枚となり、現金決済の割合の縮小が続いている(2010年の現金決済割合は14%、2016年は11.5%)。2015年には、ベトナム政府が電子商取引開発に関する5カ年計画を発表し、公共料金支払の70%や国内の個人及び世帯における支払の50%を非現金決済へ移行させることで、商取引全体における現金決済の割合を10%以下とする目標を示した。商工省は今月、電子商取引業者に対してカード決済の導入義務化を検討する方針を示すなど、電子決済の普及拡大に注力している。

  盗まれるリスクがある、金銭管理がしづらい、支払い金利が高い、セキュリティに不安、といった理由でベトナム国内で敬遠されてきたクレジットカードも、航空券購入やホテル予約など旅行関連で利用が伸びている。カード偽造といった犯罪等、対応を早急に検討すべきことはあるが、キャッシュレス社会への移行が確実に進んでいるとみられる。
 


株式会社ワールディング

株式会社ワールディング
TEL:03-5361-6455

■筆者プロフィール
谷口正俊(たにぐち まさとし)
1973年イタリア・ローマ生まれ。
早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。
同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。
同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。
7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。
日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。
日本とベトナムを往復する日々を送っている。


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