[M&Aフォーラム賞]

2006年9月号 143号

(2006/08/15)

第6回 RECOF賞発表

 

 

受賞者のことば( )内は現在の勤務先
 
《優秀賞》
「M&Aがもたらした競争優位の計量分析―わが国製造業の買収がもたらした効果」
高宇知敏彦氏 (みずほ総合研究所)
日本におけるM&Aの議論が特にメディアにおいてあまりにも米国の先行研究によるものばかりでないかと感じたため、自分でそれを検証してみようと思ったのが始まりです。アングロサクソン以外の国々、即ち欧州大陸の国々で、M&Aの効果に関する先行研究にどのようなものがあったかにも興味がありました。論文のオリジナリティを出すのに苦心しました。M&Aはダイナミックに動いている分野なので、これからも自分なりにテーマをみつけ研究を続けていければと考えています。
 
《優秀賞》
「日本型止揚合併の論理―企業価値向上のための合併」チームOdyssey
橋由香里氏
今村菜穂子氏 (マッキンゼー・アンド・カンパニー)
尾野村悠矢氏(日清製粉)
小村雄平氏(日本ユニシス)
加賀谷ゼミは会計学や戦略、財務を中心として、「企業価値分析」をテーマに活動していますが、新会社法の雑誌記事などを見て漠然と卒論のテーマに「M&A」を選んだのが始まりです。分析を進めるうちに企業へのインパクトの大きい「合併」を掘り下げることで、日本企業に合った真の企業価値向上につながるM&Aの形態を明らかにできるのではないかと思いました。卒論を基に、春休みを返上してみんなで研究をした結果が、このような形で実を結び、最高です。
 
《佳作》
「M&Aと株式所有構造に関する実証分析」宮崎浩伸氏(秋田経済法科大学経済学部経済学科講師)
近年、わが国でもM&Aが急増しており、また、同時にコーポレート・ガバナンスのシステムも大きく変化しています。両者の間に何らかの関係がみられるのか関心を持ち、実際のデータを用いてこれを検証したいと思いました。この論文は学会等で発表を行い、その際、先生方から学術的な観点からのコメントは頂いてきました。しかし、実務の方から評価を受けたことがなく、分析結果がどこまで現実に当てはまるのか不安でしたが、実務の方から評価していただき、うれしく思っております。今後も、両方の観点から整合性のとれた論文を作成し、政府の政策や制度作りに貢献できればと思います。
 
《佳作》
「コストリーダーシップ戦略を主戦略とする企業の高付加価値・高価格ブランドの構築のためのM&A戦略についての考察」
小田切潤氏 (丸紅)
近年、無形資産であるブランド・エクイティが企業の競争優位性を構築する上で、重要な要素になってきました。M&Aにおいてもブランド・エクイティを買収の目的としたものが増えていますが、シナジーを発揮するどころか、ブランド・エクイティを毀損させてしまっている場合もあります。そういった状況下、ブランド・エクイティを主眼としたM&Aを成功させるための一つの考え方を示唆し、少しでもM&Aの発展に寄与できればと思い、本論文を執筆しました。多くの方のお役に立てれば幸いです。

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