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[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2020/03/04)

ぺんてる争奪戦にみる文具市場の変化 ~ 文具業界は「意味の市場」を巡る戦いへ

藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
文具市場の変化
~ オフィス需要の低迷

 国内の文具市場は厳しい状況に直面している。矢野経済研究所によると、2018年度の国内文具・事務用品市場は前年度比1.4%減の4576億円と2年連続のマイナスとなり、2019年度もマイナス予測となっている(図表1)。主因はオフィス需要の低迷だ。近年、オフィスでは書類の電子化やインターネットの普及で筆記用具を使用する場面が少なくなっている。

図表1 国内文具・事務用品市場規模の推移



~ 個人需要の台頭とぺんてる争奪戦が持つ意味

 オフィス需要の低迷で文具市場が伸び悩む中、文具業界では2つの話題が注目を集めている。一つが「文具女子」に代表される個人需要の台頭だ。2017年12月にスタートした「文具女子博」は文具の魅力をその場で体験できるイベントであり、3回目となる昨年12月は参加企業133社、動員数3万8000人と過去最高の規模となった。

 もう一つの話題は、文具大手のコクヨとプラスによるぺんてる争奪戦だ。プラスとぺんてるが国内営業部門の一本化に向けて協議している中、コクヨがぺんてるの筆頭株主に躍り出て協業を迫る構図になっている。

 個人需要の台頭とぺんてる争奪戦。筆者はこの2つの現象は文具市場の構造変化を映し出したものとみている。オフィス需要による「機能の市場」から個人需要による「意味の市場」への移行という構造変化である。

「機能の市場」と「意味の市場」

 機能の市場と意味の市場とは何か。「機能の市場」では役に立つかどうかに力点が置かれる。高度経済成長期の三種の神器のように、消費者が求めている商品がほぼ同じであれば、大量生産でコストを下げ、巨額の広告費と広範な流通網に乗せて売り切ることがビジネスの定石となる。一方、「意味の市場」で重視されるのは、個々の消費者が何に意味を持つかという点にある。そこでは商品やサービスに込められたストーリーや意味を伝える空間が重視される(図表2)。飲食業界を例にとると、機能の市場の代表は手軽さ・便利さを売りとするファストフード店、意味の市場の代表はママとの会話を楽しむスナックということになるだろう。

 文具業界における機能の市場はオフィス向けの商品・サービスである。オフィス向けで重視されるのは、仕事を効率的にこなすための道具という側面だ。一方、文具女子博で出品されるような個人を対象とした文具は意味の市場にあたる。意味の市場での文具とは、それを手に取ることで仕事へのモチベーションが上がったり、創造性が引き出されたりするものだ。

図表2 「機能の市場」と「意味の市場」



個人向け文具需要 ~中心は30歳代、筆記具が主導

 家計調査で家計の文房具支出をみると、20…


■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@research-soken.or.jp

 

 



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