[藤原裕之の金融・経済レポート]
(2015/09/30)
目立つ値上げによる失速
マクドナルド、和民、吉野家など、価格の安さをウリとしてきた外食チェーンが値上げを機に客数の伸び悩みに直面している。期限切れ食材の使用や長時間労働の発覚など、不祥事による影響も考えられるが、それだけに低迷の原因を求めるのは無理がある。値上げを実施せず増益を続けているサイゼリヤ、高単価メニューによる実質的な値上げで客単価アップに成功しているファミレス各社の状況をみると、「価格戦略」が明暗を分けていると言えそうである。
値上げによる失速はアパレル業界にも及んでいる。象徴的なのが、ファストファッションの代名詞であるユニクロである。同社は昨年6月、原材料価格高騰と円安によって、創業以来初の一斉値上げに踏み切った。値上げによって客単価は上昇したものの、客数の伸びをみると大きく減少傾向を示している(図表1)。「低価格・高品質」を謳い文句に躍進を遂げてきた同社であるが、値上げを機に大きな岐路に立たされている。以下では、ユニクロを例にとり、値上げによる失速がどのような背景やプロセスで起こったかを探りたい。
図表1 ユニクロの売上高と客数の伸び率(既存店)
ユニクロ失速の2つの要因
筆者は、値上げで同社の客数がこれだけ減少したのは…
■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
※詳しい経歴・実績はこちら
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