[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2016/07/20)

「民泊」は宿泊業界の脅威となるか

~第2フェーズに入ったインバウンド市場

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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急成長する「民泊サービス」

 前回はアナログレコードの復活という現象を通じ、「何を所有し何を利用すべきか」というモノとコトの使い分けがミレニアル世代を中心に急速に広がりつつあることを確認した。もっとも、アナログブームのような所有価値を重視する流れはまだそれほど目立った動きになっていないのも事実である。これに対し、経済的にも社会的にも大きなうねりを生み出しつつあるのが、利用価値の最大化を目指す「シェアリング・エコノミー」の流れである。

 個人と利用者を結ぶプラットフォームを提供するシェアリング・エコノミーの流れは、配車サービスのUber(ウーバー)を筆頭に世界的に急拡大している。中でもインバウンド需要の取り込みや地方創生などの観点から日本でも急成長が期待されているのが「民泊サービス」である。民泊サービスはシェアリング・エコノミー産業の中でもクラウドファンディングやオンラインスタッフに次いで急成長を遂げている。(図表1)

 民泊サービスは、自宅の一室や空き家などの遊休資産を貸し出す「ホスト」とそこに泊まりたい「ゲスト」をマッチングする。世界最大の民泊プラットフォームを提供するAirbnb(エアビーアンドビー)の登録部屋数はグローバルで200万室以上、ホスト数は64万人に達する。日本でも登録部屋数は約25,000室、ホスト数は約5,000人と急速に伸びている。

図表1 シェアリング・エコノミー産業と従来型レンタル業の売上高成長率(13-15年平均)


民泊サービスの2つの側面

 日本における民泊サービスの活用には2つの側面がある。急増する訪日外国人の宿泊需要や空き家の有効活用を目的とした「量的側面」と…
 

 

■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら

 

 

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