[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2018/04/04)

珈琲館のファンドへの売却にみるコーヒー市場の変化

~ 厳しさ増す個人経営の喫茶店

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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コーヒーブームの裏で消える喫茶店

  コーヒー市場が順調に拡大を続けている。全日本コーヒー協会によると、日本のコーヒー消費量は2017年に若干減少したものの2016年まで4年連続で過去最高を更新している(図表1)。飲み物に対する家計の支出をみると、お茶類はここ10年まったく伸びていないのに対しコーヒーは右肩上がりで伸びている。喫茶代まで含めるとコーヒーへの支出はお茶類を4割近く上回っている(図表2)。

図表1  コーヒーの市場規模


図表2  コーヒーとお茶に対する支出


  コーヒー市場は順調に拡大を続けているものの、コーヒー市場を巡る競争はより熾烈さを増している。コンビニの持ち帰りコーヒーやブルーボトルコーヒーなどサードウェーブ系店舗の進出もあり、既存のカフェ業界は厳しい競争圧力にさらされている。

  カフェチェーンの再編も進んできた。UCCホールディングスのカフェチェーン「珈琲館」は今年5月に投資ファンドのロングリーチグループへ売却される。珈琲館はフルサービス型で昔ながらの喫茶店の雰囲気を出す店だが、今後UCCは主力の「上島珈琲店」などに経営資源を集中する。

  カフェ業界の競争環境の厳しさは喫茶店の数をみれば明らかである。日本では70年代にインスタントコーヒーの普及とともに喫茶店ブームが起きたが、喫茶店の数は1981年をピークに減少の一途にある(図表3)。なかでも減少傾向が著しいのが…


■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@research-soken.or.jp

 

 



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