
自民党は「
中小企業支援緊急パッケージ」を10月にまとめた。今後、政策として具体化する。提言を取りまとめた伊藤達也衆院議員(元金融担当大臣)にその狙いや意図を聞いた。
提言の背景と問題認識
―― 「中小企業支援緊急パッケージ」をまとめました。補助金交付等にとどまらず、中小企業の構造改革にも取り組むという内容です。前提として、中小企業関連施策でいま何が重要との認識ですか。
「雇用の7割、付加価値の5割を日本の中小企業が占めています。中小企業政策の視点からも、中小企業を支えることや、コストプッシュ型のインフレに負けない構造的賃上げの実現は極めて重要です。そうした認識のもと、中小企業の賃上げの原資となる付加価値、生産性向上という目的を念頭に必要な対策を盛り込みました。
パッケージのなかに『国難突破に向けた「中小企業挑戦支援プロジェクト」』として、中小企業が果敢に変革に挑戦することを念頭に置いた施策をまとめました。世界と日本の構造変化は、中小企業・小規模事業者が自己変革に挑戦・成長する好機でもあります。
具体的には、中小企業のDX化を支援するための環境整備を進めます。中小企業関連のデータを収集し、データベースを活用しながら効果的な施策を講じるのも大きな狙いです。
また、旧来的な役所の単年度主義にとらわれず、関係する補助金を大胆に再設計していく、という点がこれまでの政策と違う点です。複数年度にわたって事業再構築・生産性向上支援を支援できる態勢をつくります」
―― 直近の課題としては、「ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)」の本格的な返済開始が近づいています。金融機関の覚悟やコミットメントが問われる局面です。
「ゼロゼロ融資は、資金繰り支援としては大きな効果があった一方、金融機関と中小企業との関係性が薄まってしまった側面があります。
金融機関にもその役割をもう一度認識してもらい、寄り添うかたちで中小企業事業者を支えてもらうためのツールとして、ゼロゼロ融資の新しい借換保証制度を今回、考案しました。制度設計上、かなり工夫を凝らしています。今回の与党提案通りのかたちで実現できると思います」
中小企業のガバナンス強化を議論
―― その関連で、「中小企業のガバナンスの強化を促す」旨の記載があります。これはどのような趣旨ですか。