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[Webインタビュー]

(2017/06/14)

【第84回】ベンチャー企業対象のファンド総額は2008年以降最高額、ベンチャー企業の資金調達額は2000億円を突破

 北村 彰(ジャパンベンチャーリサーチ 元代表・創業者、現相談役)


 

ファンド数は減少したがファンド総額は最高に

―― アベノミクスの「第4次産業革命」による成長戦略では、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、ロボットという3つの新技術をドライバーとした産業全体の構造変化の促進が打ち出されました。この第4次産業革命ではベンチャー企業も重要な役割を担うものとして期待されています。こうした中で、ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)は「2016年設立国内投資対象ベンチャーファンド集計結果」と「2016年未公開ベンチャー企業資金調達の状況」をまとめられました。まず、16年に設立されたベンチャーファンドの全体の傾向からご説明いただけますか。

「16年に設立されたベンチャーファンド数は55ファンドとなって、活況であった15年の58ファンドに比較しますと設立数としては5%減少しています。ファンドの属性別で見ますと、事業会社系、独立系のファンドの本数がそれぞれ15本(全体の27%)、金融機関系の本数は14本(25%)となりました。15年の事業会社系18本、金融機関系17本から減少している一方で、独立系は15年の10本より増加しています。

 ファンド総額は2763.1億円で、15年の2361.8億円を17%上回り、JVRが統計を取り始めた08年以降で最高となりました。ファンド規模の中央値は45.0億円で15年の24.5億円より大幅に拡大しています。また、ファンド規模の平均値も74.7億円となって、15年の47.2億円より大幅に拡大しました。このうち事業会社系のファンド総額は532億円で15年の1000億円を下回ったもののなお高水準であり、事業会社による投資はここ数年、依然積極的な状況にあるということが言えます。また、金融機関系は291億円で15年の668億円より減少、独立系は1212億円で15年182億円より大きく増加しています。大学系ファンドは、本数は6本で15年の8本と比べて減っていますが、総額は560億円で15年の411億円に引き続き活発になっています。文部科学省の施策によって15年は東北大学、大阪大学でファンドが設立されましたが、16年は東京大学、京都大学でファンドが設立され2大学で410億円規模となりました。そのほか民間出資の大学系ファンドとして、東京工業大学、慶應義塾大学、東京理科大学、名古屋大学等でファンドが設立されるなど大学系ファンド設立が文部科学省から民間出資へと広がり、今後、大学連携や大学発ベンチャー企業への投資機会の増大が期待されます」
 

設立ファンド数とファンド規模の推移


 

ファンド規模(中央値、平均値)の推移


 

大型化するファンド

―― 投資対象について、ステージ別ではどのような傾向が見られますか。

「シード、アーリーステージ選好ファンドは2015年の13本から12本へ微減し、14年をピークに、15年、16年と減少傾向にあります。ファンド数全体に対する割合は15年が22.4%、16年が21.8%と、ともにほぼ同水準となっています」

―― ファンド規模や投資対象業種についてはどうですか。

「16年はファンドの大型化が見られたのが特徴と言っていいでしょう。具体的には、50億円以上のファンドが16本と08年以降最大である一方、10億円以下、10億円超50億円以下というファンドがいずれも15年に比べて減少しています。特に50億円以上のファンド設立本数は13年から毎年増加していまして、ファンドは大型化傾向にあるといえます。

 また、選好業種については、IoTなどコア技術を重視するファンドが出てきています。一方で、IT関連のファンド本数は11本、IT関連特化型は9本と、15年の15本、13本からそれぞれ減少しています。本数の減少に伴って、ファンド総額も減少していますが、平均ファンド規模はIT関連についてはほぼ15年と同水準、IT関連特化型は15年70.1億円から88.6億円に増大・大型化しています。また、バイオ・医療・ヘルスケアを対象とするファンドは15年の4本から5本に増加していますが、ファンド総額は294億円から68.3億円へと大きく減少しています。また、1本あたりの平均ファンド額は22.8億円と小型化しています。クリーンテック、エネルギー関連を対象とするファンドは15年には4本あったのですが、16年は0本でした」

ベンチャー企業の1社当たり資金調達額も大型化

―― 未公開ベンチャー企業(IPO企業の上場前を含む)の資金調達状況についてはどうですか。

「ご存知のように、07年のライブドア事件に象徴される新興市場上場企業の相次ぐ不祥事に08年のリーマンショックが追い打ちをかけて、09年~13年の5年間はベンチャー投資の低迷が続きました。しかし、ベンチャーの資金調達額は13年にようやく増加に転じ、14年は1390億円、15年はそれを上回る1716億円となり、16年はその勢いをさらに加速して2000億円を突破し、2099億円(15年対比22.3%増)となっています。
 

資金調達総額と企業数の推移

 1社あたりの資金調達額は・・・

 

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