[M&Aスクランブル]

(2023/10/27)

伊藤忠商事、マーケットインに基づくM&A戦略で問われるカーブアウトの巧拙

マール企業価値研究グループ
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CTCと大建工業を相次ぎTOB

 2023年8月、伊藤忠商事は、連結子会社の伊藤忠テクノソリューション(CTC)と持分法適用会社である大建工業の公開買付け(TOB)を実施した。両社は東証プライム市場に上場しており、買付総額はそれぞれ3876億円、約500億円にのぼる。すでに伊藤忠は2社の大株主であることから、これらTOBによる伊藤忠の事業戦略への影響や財務への影響は限定的であると市場関係者は評価している。今回のTOBを経て、2社は伊藤忠の完全子会社となる。

 伊藤忠は2021年の中期経営計画「Brand-new Deal 2023」において、「マーケットインによる事業変革」を明確に掲げている。上記のM&Aは、この方針に則り、行われたものと解釈できる。同中計によれば、伊藤忠がいう「マーケットイン」は「多様なニーズを川下から川上へとつなげるバリューチェーン改革」を意味する。

 ここ数年で伊藤忠は日本のM&A市場全体を見渡しても、積極的な動きを見せている。2019年にはデサントを同意なきTOBで傘下に収めたほか、2020年にはファミリーマートを完全子会社化した。また、2022年にはスポーツブランド「アンダーアーマー」の日本代理店であるドームの発行済株式の過半数を取得した。これらの動きは、伊藤忠が総合商社の従来のビジネスモデルからの変革と、消費者向けの事業拡大を目指していることを示しているように見える。今までの総合商社像から、逸脱する動きにも見える。

非資源分野でのビジネス展開を追求

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