[M&Aトピックス]

(2023/09/25)

中小企業庁が「中小M&Aガイドライン」を改訂

~手数料、支援の質、重要事項説明、依頼の際の留意点などの記述を拡充~

 中小企業庁は、9月22日に中小M&Aガイドラインを改訂し、第2版を公表した。中小M&Aガイドライン初版策定から約3年が経過し、中小企業の事業承継の手法の1つとしてM&Aが広く認識される一方で、増加するM&A専門業者(仲介・FA)に関して、契約内容や手数料のわかりにくさ、担当者による支援の質のばらつきなどがみられるようになった。これら課題に対応するため、今回の改訂によりM&A専門業者向けの基本事項や依頼する際の留意点などが拡充された。

 主な改訂点は、①手数料、②支援の質、③重要事項説明、④依頼の際の留意点の4つだ。

 手数料については、一般的に用いられる算定方式であるレーマン方式について、「基準となる価額」の考え方によって報酬額が大きく変動することから、「基準となる価額」の考え方、金額の目安や報酬の目安の確認の重要性が示されている。また、多くのM&A専門業者が設定している最低手数料について、その金額の分布状況や適用される事例が紹介されている。

 支援の質については、M&A専門業者には、依頼者との間の契約上の義務を履行し、職業倫理を遵守することが求められる旨が明記された。また、そのための取り組みとして、経営トップのメッセージ発信、人材育成・人事評価、業務規程・マニュアルの整備などが紹介されている。

 重要説明事項については、仲介契約・FA契約の締結前に契約に関する重要な事項を記載した書面を交付して、明確な説明をすることが明記された。また、説明すべき重要事項を見直すとともに、説明後の検討時間の確保も明記された。

 依頼の際の留意点では、M&A専門業者を介さずに直接、交渉・接触することを禁じる「直接交渉制限」の条項について、制限される候補先や交渉の目的・期間について限定すべき旨が明記された。

 その他にも、セカンド・オピニオン、マッチングにおける支援機関の活用などが追加されている。

■経済産業省 「中小M&Aガイドライン」改訂

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