[M&A戦略と会計・税務・財務]
2016年4月号 258号
(2016/03/15)
はじめに
グローバル化に向けた海外ブランド買収が後を絶たない。最近では、サントリーによるビームの買収、JTによる米レイノルズ・アメリカンの「ナチュラル・アメリカン・スピリット」の買収といったブランド買収を主としたM&Aが最近増えてきている。
一方で、様々な海外事業の危機も見受けられる。例えば、ブラジルにおけるペトロブラスや中国での景気低迷等により、急激な業績悪化、ひいては減損・撤退といったものである。世界経済の取り巻く環境変化はさらに激しくなり、変化に対応した進化が問われている時代である。
生き残るためのキーワードの1つが“ブランド”であり、これは企業経営にとって欠かせない重要な資産の1つであると認識されている。しかし、ブランドは目に見えない無形資産のため掴みにくい。さらに、ブランドの本質は、顧客の頭の中で培われるものであり、イメージ・連想・認知等が顧客によって醸成される資産であることから、特許などの他の無形資産と性質が異なる。例えば、強力なブランドであれば顧客が対象ブランドに対するロイヤルティが高いため、他のブランドに見向きもせずに当該ブランド製品を購入し、収益が継続する。
そもそも、本質的に強いブランドを築くことの目的は、「顧客を魅了する」、「ロイヤルティを築く」「従業員を動機付ける」であろうか?もちろんこれらはすべて正解である。しかし、少なくとも資本主義下の事業としてのブランドである以上、第一には「持続的に利益を獲得すること」なのである。そして持続的な利益を獲得する役割であるブランドをうまくマネジメントすることが、グローバル化に向けた買収やクライシス局面で重要だといえる。そうでなければ買収後即減損といったことになりかねない。
本稿では、ブランドマネジメントの見地から、その役割・評価・活用法について言及していきたい。(なお、ここでいうブランド買収は、ブランドのみの買収ではなくブランドを有する事業体の買収を指す。)
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――4月1日「オリックス・クレジット」から「ドコモ・ファイナンス」に社名変更
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