[【バリュエーション】Q&Aで理解する バリュエーションの本質(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社)]

(2025/04/10)

【第3回】継続価値の計算における前提を正しく理解する

鷺坂 知幸(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー 公認会計士)

(監修)
中道 健太郎(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー)
  • A,B,C,EXコース
Question
DCF法による事業価値の算定において、事業計画が3~5年である場合、事業価値の多くの部分は事業計画期間経過後の継続価値によって占められることになる。それだけに継続価値の計算が非常に重要となる。実務では永久還元法とExit Multiple法が用いられるケースが多いが、その考え方の違いはどこにあるのだろうか。

また、永久還元法においては、事業計画期間以降の成長率をインフレ率等のマクロ指標に合わせて設定することも多いが、果たして実態と合っているのだろうか。
 インカム・アプローチのDCF法は主に以下の3つの要素から成り立っている。
① 事業計画等を基礎としたフリー・キャッシュ・フロー
② 割引率
③ 継続価値
 なお、異なる見方として、DCF法の要素をキャッシュ・フローと割引率の2つに整理し、このうちキャッシュ・フローについては事業計画と事業計画期間以降の継続価値に区分するという考え方もあるが、いずれにせよ今回は継続価値の計算について解説する。

 本連載の第2回の冒頭で用いた設例と同様に、製造業を想定する。その企業のフリー・キャッシュ・フロー(FCF)および継続価値の計算例を図表1として設定し、継続価値の計算におけるポイントを解説する。


■筆者プロフィール
鷺坂 知幸(さぎさか・ともゆき)
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー、バリュエーション&モデリング統括、公認会計士。
有限責任監査法人トーマツ入社後、米国会計基準を含む大手金融機関の監査業務に従事。その後デロイト トーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社に転籍し、無形資産価値評価、米国基準、国際会計基準ののれんの減損テスト支援、株式価値および事業価値評価等のバリュエーションサービスに関する業務に従事、現在に至る。

■監修者プロフィール
中道 健太郎(なかみち・けんたろう)
デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 パートナー
トロント、ニューヨークでの監査経験を経て、1997年に来日。金融機関・金融商品・不良債権の評価、海外資源・インフラ案件の評価、機械設備の評価、訴訟・競争法関連の評価・証言を含め、幅広い業種・状況におけるバリュエーションサービスに従事、現在に至る。

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