[Webマール]

(2024/09/18)

上場会社M&Aの際に設置される特別委員会の現状と課題

菅谷 貴志(フォーサーズ 代表取締役)
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はじめに

 2024年1-6月期の日本企業のM&A件数は2321件と、前年同期の1944件から377件、19.4%増加した。全体件数が伸びるとともに、上場会社が関与するM&Aも増えており、上場会社が買い手となる案件は478件で、前年同期の373件から28.2%増加した。一方で、上場会社が売り手となる案件は200件で、前年同期の183件から9.3%増加している(注1)。

 この中で上場会社がM&Aの対象となり上場廃止となったM&Aは、2023年は59件、2024年1-6月は37件であり、2023年の同期間は17件だったことを考えると、件数は前年比117%に増加している。

 その要因は必ずしも明らかではないが、タイミングとしては、2023年に東京証券取引所から、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の要請があり、PBR1倍以上への株価向上を求められるような素地ができ、加えて東証新市場区分の経過措置も切れるタイミングにある。選択した区分の経過措置適用会社(執筆時点で、プライム71社、スタンダード154社、グロース49社の合計274社、注2)は、資本政策として新たなアクションを取る必要に迫られる可能性もある。このように考えると、上場会社が対象会社となるM&Aは、当面件数を重ねていくことが想定される。

図表1 TOBMBO件数等の推移


■ 筆者履歴

菅谷 貴志(すがや・たかし)

菅谷 貴志(すがや・たかし)
2005年レコフ入社。エクセキューション業務を担当後、カバレッジ・グループに異動。主に地方銀行の経営統合、上場会社のカーブアウト、事業承継M&Aなど、物流、IT、環境関連の業界を中心に様々な業界のM&Aを担当。2017年1月よりフロンティア・マネジメント株式会社に入社。カバレッジとエクセキューションの両方を担当。主に上場会社のTOB案件、上場会社の法的整理案件、PEファンド関連案件から事業承継M&A、上場会社間での合弁会社設立、資本業務提携等多様な企業規模、ストラクチャーの案件を担当。2024年6月フォーサーズ株式会社設立。代表取締役社長に就任。慶應義塾大学法学部法律学科卒業、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際経営学専攻(MBA)修了

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