好調の中で不安要素を抱えるドラッグストア業界 ドラッグストア業界は販売額・店舗数とともに順調に拡大を続けている(図表1)。2021年はコロナ禍の巣ごもり・買いだめ特需の反動減がみられたが、22年は再び回復軌道に戻っている。2022年の市場規模は前年比5.5%増の7兆7094億円、店舗数は前年比4.6%増の1万8429店となっている。
図表1 ドラッグストア業界の販売額と店舗数

好調を続けるドラッグストア業界だが、事業の内側をみると必ずしも安泰とは言えない姿がある。高い粗利(3~4割)が期待できる調剤・医薬品事業はドラッグストア経営の大きな柱だが、コロナ禍以降事業の不安定性が増している。コロナ禍の受診控えによる処方箋枚数の減少と処方箋日数の長期化を受け、調剤事業の収入は減少した(図表2)。特に中小の調剤薬局は大きな打撃を受け、21年度の倒産件数は04年以降で最多の23件となった(東京商工リサーチ)。マスク特需で売上が倍増した衛生用品も21年は反動減に見舞われた。化粧品事業はマスク規制の緩和で反動増が期待されるが、在宅勤務の浸透もあり、元の水準まで戻るかどうかは未知数だ。
図表2 処方箋の枚数と日数の推移

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