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(2023/10/25)

投資会社「W&Dインベストメントデザイン」 トラッキング・ストックを活用し子ども服「KPブランド」の再生へ~ワールド・ナルミヤ・DBJが連携

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支援にあたったワールド・ナルミヤ・DBJの関係者

支援にあたったワールド・ナルミヤ・DBJの関係者

ニットプランナー事業譲受の背景

 アパレル大手のワールドの100%子会社であるワールドインベストメントネットワーク、子ども服ブランドのナルミヤ・インターナショナル、日本政策投資銀行(DBJ)の3社は、ワールドとDBJが共同で設立した投資会社「W&Dインベストメントデザイン」(W&DiD)を通じて、子ども服販売会社のニットプランナー社の主要事業を譲受すると発表した(種類株式の配当利回りや出資金額は非開示)。トラッキング・ストックの仕組みを利用し、新会社「KP」(新KP)を設立し、ニットプランナー事業の再生を目指す。
 3社による支援スキームは図表の通りで、投資先の業績や配当に連動して株式の価値や価格が変わる種類株式「トラッキング・ストック」(TS、子会社連動株式)を発行・活用する。トラッキング・ストックは、発行会社の子会社や事業部門の業績に価値が連動するよう設計された種類株式。投資金額や期間に制限があるファンドとは異なり、トラッキング・ストックを用いたスキームでは、投資先企業に必要となる投資金額や期間などを柔軟に設定し事業再生の支援ができるメリットがあるほか、ファンド組成や運営にかかるコストも削減することができる。

 1973年に創業し、婦人服から子ども服へとビジネスを変えてきたニットプランナー社は、そのブランド「ケーピー(KP)」が多くの消費者に知られている。ニットプランナーはピーク時には、国内直営店57店舗、専門店100店、中国の直営店15店舗、代理商4店舗と合わせて176店舗を展開していた。しかし、2021年1月期に売上高は16億4658万円、赤字が4億1879万円に上った。この経営状況を受けて、主要事業をワールドやナルミヤ、DBJが参画する「新KP」に譲渡することとなった(図表)。新たな体制下での「新KP」は現在45店舗を運営。事業の面でワールドとナルミヤ、資金面でDBJが支援を行う。

【図表】3社による支援のスキーム
3社による支援のスキーム
(出所)W&Dインベストメントデザイン

ワールドとナルミヤの協力の経緯

 今後の支援のポイントとして挙げられるのは、アパレル大手のワールドとその子会社であるナルミヤの事業運営ノウハウの活用だ。特に、ニットプランナーの事業再生支援を主に担当するナルミヤの役割がカギになる。

 支援の主体となるワールドとナルミヤはデジタル化への取り組みを強化している。ワールドは2022年2月にナルミヤを連結子会社化し、ナルミヤはECの面でアプリ改善や新規会員獲得キャンペーンにより顧客の増加を実現している。ナルミヤの國京紘宇社長(写真左から2人目)によれば、「ワールドからのバックオフィスサポートが強化され、これによるシナジーが出始めている」という。2023年9月からは、

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