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(2024/01/12)

武田薬品からのスピンアウト企業が運営、アイパークインスティチュートの躍進

――ビジネス連携や共同研究を促進

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「製薬企業の研究所」から、「中立的で開かれたサイエンスパーク」に

 武田薬品工業(以下「武田薬品」)の大規模研究拠点「湘南研究所」から生まれた国内最大級のサイエンスパークである湘南ヘルスイノベーションパーク(神奈川県藤沢市、以下「湘南アイパーク」)。2023年4月、武田薬品から一部門が独立する形で設立されたアイパークインスティチュートが、その運営事業を承継した。

 新会社として設立されたアイパークインスティチュートへの出資比率は産業用不動産REITの産業ファンド投資法人 (IIF)が41.0%、 武田薬品工業が36.5%、三菱商事が19.5%となっている。

 湘南アイパークが開所した2018年より5年間、湘南アイパークの運営(施設のメンテナンスやイベントの企画など)は、武田薬品の一部門が担ってきた。しかし、一製薬企業の枠にとらわれずに、より中立的で多様なエコシステムを発展させていくことを目的として、当該部門が武田薬品から独立し、運営事業を承継するという形を取った。

多様な企業の誘致に成功

湘南アイパーク 湘南アイパークは2018年4月に誕生した。武田薬品が2010年代半ばより世界の研究開発拠点の再編を実施し湘南研究所の規模を適正な規模に見直すなか、自社の研究施設を外部開放し、日本初の製薬会社発のサイエンスパークを開くことにしたことを契機とする。以来、湘南アイパークには、大学、スタートアップ、企業などが集い、現在では、創薬やライフサイエンス関連の多様な企業やスタートアップが集まる大規模な研究開発拠点に育ちつつある。施設の成長に鑑みても、複数社による共同運営方式が理にかなっていると判断した。2023年、上述の通り複数企業を株主とする新会社が運営する形へと移行した。

IPO、M&Aの事例も生まれる

 アイパークインスティチュートは2025年までに施設内に「200社、3000人」を誘致するとの目標を掲げている。


■藤本 利夫(ふじもと・としお)
医師。経営学修士。日本、欧州及び米国における著名な病院で胸部外科医として勤務。2006年から2017年まで日本イーライリリー株式会社にて研究開発本部長執行役員、取締役副社長を歴任。2017年より、武田薬品工業 湘南ヘルスイノベーションパークのジェネラルマネジャーとして、創薬エコシステムの形成、拡大に注力。2023年より、アイパークインスティチュート代表取締役社長に就任。

■中川 弘規(なかがわ・こうき)
製薬企業、投資銀行、総合商社、官民ファンド、医療機器メーカー等を経て、2021年に湘南アイパークに着任。ライフサイエンス・ヘルスケア分野における、営業・事業開発・ベンチャー投資等の幅広い経験を活かし、2023年より現職。

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