増加に転じたJPモルガンなど欧米の銀行支店数
オンラインバンキング、フィンテック強化で削減一辺倒だった金融機関の支店戦略に変化の兆しがみられる。その象徴が米銀最大手JPモルガン・チェースの支店数の増加である。同行の支店数は2013年をピークに9年連続で減少していたが、2022年になって下げ止まり、23年からは増加に転じている(図表)。
同行の新型店舗として注目されているのが、地域との関わりを深めることを目的とする「コミュニティ・ブランチ」である。現在は約300店あり、今後も年間約130店のペースで出店拡大する。コミュニティ・ブランチの最大の目的は地域住民とのつながりにある。地元住民向けに家計や資産運用に関するワークショップを開催、経営者向けのセミナーも実施している。従業員の約8割は地元住民で、顧客は顔なじみのいるリラックスした空間で資産運用などの相談ができる。
新規出店を押し進めるのはJPモルガンだけではない。バンク・オブ・アメリカは23年6月、南部アラバマ州やルイジアナ州など4州に進出すると発表、全米39州で支店網を展開する。オンラインでは顧客の顔が見えず重要な顧客ニーズを逃してしまう。支店を減らす一方では銀行の存在意義そのものが問われかねない。こうした危機感が支店強化の動きにつながっている。...