2024年7月、調剤薬局最大手のアインホールディングス(以下、アインHD)は、インテリア・雑貨の販売を手掛けるFrancfranc(以下、フランフラン)を499億7600万円で買収すると公表した。
アインHDの2024年4月期の売上高は3998億円。そのうち約9割は調剤薬局を中心としたファーマシー事業が占めており、コスメ販売などのリテール事業は1割弱にとどまる。しかし、今回のフランフランの買収により、リテール事業の売上高は800億円弱、売上構成比では2割程度にまで高まることになる。
アインHDが現在の主力であるファーマシー事業ではなく、リテール事業において大型買収を実施した狙いはどこにあるのか。M&Aを含む事業開発全般を管掌する首藤正一・代表取締役専務に聞いた。
3年前から動き始めていたフランフラン買収
―― アインHDの事業概要について教えてください。
「当社の事業は、もともとドラッグストアなどのリテール事業から始まり、その後、臨床検査や薬局などに拡大していきましたが、1998年に臨床検査事業を他社に売却して以降は、ファーマシー事業とリテール事業の2つに絞って事業を展開しています。これまで、ファーマシー事業では『アイン薬局』を中心に1200を超える調剤薬局を全国に展開しており、リテール事業ではコスメを中心に美と健康に関するアイテムを取り扱う『アインズ&トルペ』を82店舗展開してきました。アインズ&トルペのお客様は20~30代の女性が中心で、商品構成もおよそ90%が雑貨も含めたコスメ関連であり、一般的なドラッグストアとは対象顧客も商品構成も大きく異なります」
■首藤 正一(しゅどう・しょういち)
1982年第一臨床検査センター(現・当社)入社。経営企画室長等を経て、2000年取締役。2015年代表取締役専務。M&Aを含む事業開発およびファーマシー事業の運営を統括する。