[藤原裕之の金融・経済レポート]
(2016/03/16)
~ あるべき地銀経営へ踏み出せるか ~
マイナス金利の衝撃
日銀によるマイナス金利政策は金融業界に大きな波紋を投げかけている。マイナス金利発表直後に急落した銀行株は今なお低迷状態が続いている。
今回のマイナス金利政策は、日銀当座預金に今後積み上がる部分に対して適用されるため、その部分に対するインパクトはそれほど大きいとは言えない。問題は、市場金利が低下することによる利ざやの縮小にある。
銀行の中でも特に大きな影響を受けるとみられるのが地銀である。地銀は2013年4月に始まった日銀の異次元緩和により、「預金を集め、担保を取って融資し、余ったお金で国債を買う」という収益モデルがうまく回らなくなっている。仕入れ値である預金金利はすでに下げる余地がないほど低くなる中、売り値である貸出金利と国債利回りの低下で利ざやが悪化の一途を辿っている。マイナス金利は地銀の低収益状態に拍車をかけ、地銀経営の根幹を揺るがしているといっても過言ではない。
地銀の収益の7割は利ざや業務
銀行の利益は「資金利益」「役務取引等利益」「特定取引利益」「その他業務利益」から構成される。上述の「預金を集め、担保を取って融資し、余ったお金で国債を買う」ことで生まれるのが「資金利益」である。地銀の場合・・・
■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
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