丸紅グループの投資ファンドであるアイ・シグマ・キャピタルは2021年4月に化粧品容器製造会社ツバキスタイルグループへの投資を実行した。投資実行後、化粧品容器のリサイクル事業を開始し、投資先の売上は約3割増加しているという。アイ・シグマはどのような経営支援を実行しているのか。
「環境に配慮した容器」の潜在力に着目
―― アイ・シグマ・キャピタルが2021年4月にツバキスタイルグループに投資を行いました。どのような投資経緯だったのですか。
「2018年から2019年頃、大きなマクロトレンドとして、現在使われているペットボトル容器は環境問題の影響で減少していくと考えていました。特に海外では環境問題への意識が非常に高く、日本のPET市場の成長見通しに対しても否定的な印象を持っていました。
しかし、2019年頃から丸紅のプラスチック事業の担当者たちと話をしているうちに、売上が100億円に満たない企業でも環境に配慮した容器を積極的に採用している会社が多いことに気づき、注目するようになりました。容器には化粧品や飲料用など様々な種類がありますが、特に環境に配慮している企業に興味を持ち、銀行や仲介会社を通じて情報を集めました。その結果、約40社の環境配慮型容器製造会社をリストアップし、1社1社アプローチを試みました。
その中で、7社ほどと直接会って話をする機会があり、『PET容器は環境問題と相反するため、従来通りのビジネスは続けられない』という考えが次第に確信に変わっていきました。PET容器は非常に便利で、薬品の収納にも適していますし、コストもさほど高くありませんが、環境への負荷が問題です。この課題にどのように取り組むか、非常に大きなビジネスチャンスがあると感じました。
さらに、2022年4月には『プラスチック資源循環促進法』が施行されることも分かっており、その流れに乗ってビジネスの機運が高まるのではないかと考え、何社かと継続的に協議を続けていました。その中で出会ったのが、ツバキスタイルという会社でした」
―― その後、どのようにして投資に至ったのですか。
■中村 大介(なかむら・だいすけ)
三井住友銀行、リサ・パートナーズを経て2011年9月より現職。三井住友銀行では、投資銀行営業部、同部金融ソリューション室、コーポレート・アドバイザリー本部にてM&A、ストラクチャード・ファイナンス、シンジケーション等投資銀行業務に従事。リサ・パートナーズでは、2011年2月までソリューション部長(エグゼキューション責任者)、2011年2月からソリューション営業部長(ソーシング責任者)としてPEファンドの運営を中心にバイアウト案件並びに再生案件を手掛ける。現職では、これまでに株式会社新総企/株式会社マオス、株式会社飯野製作所、株式会社日東コーン・アルム、ミニター株式会社の経営支援等を行い、現在は株式会社ツバキスタイル、株式会社ジャッカルの経営支援等を担当。