[Webマール]

(2024/11/14)

着実に増加するM&A収益、変わる大手証券会社のビジネス

前田 昌孝(マーケットエッセンシャル主筆、元日本経済新聞編集委員)
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主な証券会社の2024年4~9月期決算が出そろったが、大手5社(野村、大和、みずほ、三菱UFJ、SMBC日興)の決算からはM&A関連の収益が引き続き好調に推移していることがうかがえる。上場企業のエクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)が減るなかで、M&Aビジネスは投資銀行業務を支える大きな柱になっている。親子上場の解消やMBOのための上場廃止の増加も収益機会につながっている。
投資銀行業務全体の収益

 傘下に資産運用会社を抱える大手証券グループの業務は、リテール部門、ホールセール部門、投資管理部門などに分かれている。リテール部門はもっぱら全国の営業店が、投資管理部門は資産運用会社が受け持っており、主に本店で対応するホールセール部門は機関投資家と株式や債券を取引するマーケット業務と、企業の資金調達の支援をする投資銀行業務に分かれている。

 2024年4~9月期決算をみると、投資銀行業務の純営業収益(金融費用控除後の収益)は野村ホールディングスが795億円で純営業収益の15.6%、大和証券グループ本社が340億円で同10.9%、みずほ証券が434億円で同21.3%、三菱UFJ証券ホールディングスが541億円で同19.9%、SMBC日興証券が757億円で同27.8%となっている。

 4~9月期を4~6月期と7~9月期とに分け、過去からの状況を含めてグラフ化すると図表1のようになる。2024年7~9月期は5社合計で1546億円となり、1年前の2023年7~9期を25.1%、2年前の2022年7~9月期を71.1%上回っている。四半期によって増減はあるが、方向感としては着実に成長しているビジネスといえそうだ。



■ 筆者履歴

前田 昌孝

前田 昌孝(まえだ・まさたか)
1957年生まれ。79年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社入社。産業部、神戸支社を経て84年に証券部に配属。97年から証券市場を担当する編集委員。この間、米国ワシントン支局記者(91~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。日経編集委員時代には日経電子版のコラム「マーケット反射鏡」を毎週執筆したほか、日経ヴェリタスにも定期コラムを掲載。22年1月退職後、合同会社マーケットエッセンシャルを設立し、週刊のニュースレター「今週のマーケットエッセンシャル」や月刊の電子書籍「月刊マーケットエッセンシャル」を発行している。ほかに、『企業会計』(中央経済社)や『月刊資本市場』(資本市場研究会)に定期寄稿。

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