現在、アクセンチュアは「World's most acquisitive firm」(世界で最もM&Aに積極的な会社)と評されることもある。同社はM&Aを積極的に進める方針を掲げており、この活動は社内で“Ventures & Acquisitions(V&A)”と呼ばれる。通常のM&Aではなく、最先端のテクノロジーや新しいソリューション、ケイパビリティといった新たなビジネス領域を獲得し、それをオーガニックな成長の推進力とするという含意が“V&A”にはある。同社のM&A戦略の規律や具体的な取り組み実績を担当幹部に聞いた。
「World's most acquisitive firm」に
―― アクセンチュアがM&Aの対象としている領域はどこになるのでしょうか。
「対象は、新たなビジネス分野、新たな能力、新しい手法の3つです。単に既存のビジネスのキャパシティを増やすのではなく、新しい技術や能力に投資し、これらをアクセンチュアのエコシステムに取り込み、好循環を生むことが投資の目的です。このアプローチを我々は『V&A(Ventures & Acquisitions)』とアクセンチュア独自の呼び方をしています。
ただ、初期段階のベンチャー企業へ投資をするわけではありません。新しい技術やソリューション、コンサルティング能力の視点で、一定の評価を得ている企業を選定しています。こうした取り組みが評価され、近年ではBloombergなどで『World's most acquisitive firm』と称されています」
―― M&Aの根底にある方針・思想について教えてください。
■上野 正雄(うえの まさお)
アクセンチュア戦略部門においてプライベート・エクイティのプラクティスを統括後、アクセンチュア コーポレートデベロップメント アジア・パシフィック統括、兼アクセンチュア日本法人の執行役員に就任。アジア・パシフィックの 投資委員会メンバーとして、投資意思決定から、投資後のvalue creationやモニタリングを担う。アクセンチュア入社以前はボストンコンサルティング、アリックスパートナーズ等に在籍。