[寄稿]
2016年5月号 259号
(2016/04/15)
― ペップ・ボーイズを巡るアイカーンとブリヂストンの攻防劇 ―
2015年は全世界で記録的なM&Aブームとなり、アメリカでは、ともに100年以上の歴史を持つ老舗企業のデュポンとダウケミカルの統合(化学業界、約620億ドル)、大型M&Aを繰り返して規模の拡大を図るファイザーによるアラガンの買収(製薬業界、約1600億ドル)、非上場化後に創業者の下で再起を図るデルによるEMCの買収(IT業界、約670億ドル)など、ビックディールの発表が相次いだ。増加するM&Aの背景には、単独では持続的な高成長を維持できなくなったことに加え、大規模な金融緩和の恩恵によって低金利の買収資金を調達できるなどといった要因もあるが、強固なコーポレートガバナンスに裏打ちされて、アクティビストがダイナミックな業界再編や企業淘汰を促し、産業の構造転換を通じて、経済に新陳代謝をもたらすカタリスト(触媒)になっている点も見逃せない。現に、上記ビックディールには何らかの形でアクティビストが関わっている。
本稿では、日本の大手タイヤメーカーのブリヂストンが、1980年代から活躍するアクティビストの大御所アイカーンと買収合戦を繰り広げた米自動車用品小売チェーン大手ペップ・ボーイズ(The Pep Boys — Manny, Moe & Jack、NY証券取引所上場)の買収経緯を振り返りながら、アメリカでコーポレートガバナンスがいかに機能し、アクティビストに向き合いながら売り手対象企業の取締役会がどのように行動しているのかについて考えてみたい。真のガバナンス改革が叫ばれる日本でもきっと参考になるであろう。
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