M&A専門誌マール 2016年6月号 260号(2016/05/19発売)

特集: 米国M&A規制の最近の動向

2016年4月、米医薬大手のファイザーとアイルランドの同業大手アラガンは、昨年発表した統合を中止した。米財務省が、節税目的のM&Aに歯止めをかける新たなインバージョン規制を発表した直後のことだ。このほか、2月には、中国の半導体大手、紫光集団が、やはり昨年発表していた米ハードディスク駆動装置(HDD)大手のウエスタン・デジタルへの資本参加を断念した。米当局CFIUS(対米外国投資委員会)が、国防上の理由から調査に入ることを決めたためという。その他、大型のM&Aの断念・中止事例が相次いでおり、米国におけるM&Aを取り巻く規制環境が、国益重視に傾斜しているように見える。
本特集の寄稿「M&Aをめぐる米国規制当局の近時の動向」では、国家安全保障を目的とする取引の規制、独占禁止法上の規制、税収確保のためのインバージョン規制について、最近の事例を含め、米国のM&A規制の最近の動向を紹介している。また、寄稿「日本企業による対米エネルギー投資の留意点」では、CFIUSによる審査事案が増えているエネルギー部門への投資に焦点を当て、その審査手続の実態と日本企業の対応についてまとめた。

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