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[【法務】Withコロナ時代のクロスボーダーM&Aの実務と新潮流(東京国際法律事務所)]

(2021/01/27)

【第7回(最終回)】コロナ禍でも自社のビジネスを加速度的に拡大させるクロスボーダーM&A戦略

森 幹晴(東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士・NY州弁護士)
【寄稿筆者】小島 秀毅(株式会社SHIFT グループ経営推進部 部長)
  これまで数年間にわたり日本企業による海外M&Aは非常に活発であったが、コロナ禍は多くの日本企業にM&A戦略の見直しを迫る契機となった。不確実な環境で自社の成長戦略をどう打ち立て実行していくか、企業のM&A担当者に課された課題はとてつもなく難しい。経済の不確実性と国際的な人の移動に制約のある状況で、どのように成長戦略を描くか、どのように自社の戦略にあう買収候補を見つけるか、デューディリジェンス(DD)、バリュエーションなどのエグゼキューション、買収後のPMIの実務面でのニューノーマルな対応が求められる。

 最終回は、2020年のコロナ禍にもかかわらず日本企業で2番目に多い年間6案件(東証適時開示ベース)のM&Aをクローズさせ、M&A戦略を梃に1年間で時価総額を2倍以上に増やし、ビジネスを急拡大させているIT企業のSHIFT(東証1部:3697)にて、M&A/PMIの責任者を務めている小島秀毅氏に、事業会社のM&A担当者の目線から、Withコロナ時代のクロスボーダーM&A戦略の実務の変化と課題について寄稿いただいた。

 小島氏は、前職の三菱商事時代から国内外のM&A/PMIを推進し、現職ではコロナ禍でもチャンスを捉え、M&Aによる成長戦略を推進している。難しい環境下での取り組みのご経験から、共感するご苦労や「目から鱗」の方法論を余すことなく語っていただいた。業務でご多忙の中、執筆にご協力いただいた小島氏に感謝を申し上げる。

(森 幹晴・東京国際法律事務所 代表パートナー 弁護士・NY州弁護士)


【寄稿】
Withコロナ時代のクロスボーダーM&A戦略の実務の変化と課題

小島 秀毅(株式会社SHIFT グループ経営推進部 部長)

 新型コロナ感染症の感染拡大がグローバルなビジネスモデルを根底から変えてしまったのと同様に、M&A実務の世界もこの1年間で大きく変わった。それは具体的な数字で見ても明らかで、特にクロスボーダー案件(In-Out)の場合は国内案件(In-In)と比べても件数・金額が大きく下落している。


出所:レコフデータ

 実際、私も昨年1年間にクロスボーダーM&Aの検討をいくつも行ったが、渡航制限やロックダウンなどで交渉が延期されたり、あるいは、先行きが見通せなくなったとの理由から戦略そのものを見直さざるを得ないといった案件が相次いだ。そして、これまでとは違ったエグゼキューションやバリュエーションの課題なども出てきて、その都度、試行錯誤を繰り返していた。

  • 現地に行くことができないため、通常のデューディリジェンス(DD)ができない
  • 先が読めない中、どのような前提でバリュエーションを行えば良いのか判断がつかない
  • クロージングの前提条件や表明保証MAC条項をどう規定すれば良いのか前例がない
  • 新たな投資規制への対応が求められる

 一方で、今回のコロナ禍はクロスボーダーM&Aを行う日本企業にとっては千載一遇のチャンスであるとも考えている。…


東京国際法律事務所

■筆者略歴

森 幹晴(もり・みきはる) 

2002年東京大学法学部卒業。2004年長島・大野・常松法律事務所。2011年コロンビア大学法学修士課程修了。2011-2012年Shearman & Sterling(ニューヨーク)。2016年日比谷中田法律事務所。2019年東京国際法律事務所開設。
日本企業による海外M&A・国内M&A、国際紛争・仲裁等に注力。日本経済新聞社の「2020年に活躍した弁護士ランキング」の総合ランキング(企業票+弁護士票)M&A部門において9位にランクイン。ALB Japan Law Awards 2020において、Dealmaker of the Year、Managing Partner of the Yearの各カテゴリーにおいてファイナリストとして選出。IFLR1000 - Guide to the World’s Leading Financial Law Firms において、Leading Lawyer - Notable Practitionerに選出。

小島 秀毅(こじま・ひでたか) 

2003年東京外国語大学外国語学部卒業。2009年一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程修了(MBA)。2019年ハーバード・ビジネス・スクールPLD修了(PLDA)。
大和証券、GCAを経て、2011年に三菱商事にてライフサイエンス本部(現・食品化学本部)立ち上げと合わせて同社に入社。食品化学事業において国内外のM&A/PMIを推進し、同事業をグループのコア事業に育てる。2020年からはSHIFTのグループ経営推進部にてM&A/PMIの責任者を務める。
米国駐在の経験から北米を中心とするクロスボーダーM&A/PMI戦略の立案と実行を強みとする。米国公認会計士、日本CFO協会グローバルCFO。



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