[藤原裕之の金融・経済レポート]
(2014/10/29)
スーパーの業績を左右する「生鮮品」
個人消費は増税後の反動減からの戻りが鈍い。小売企業の売上も全般に伸び悩みがみられるが、コンビニの売上げ(以下、既存店ベース)は前年割れの状態が続いているのに対し、食品スーパーの売上は前年を上回る伸びを示している。その差は素材、すなわち生鮮品を扱っているかどうかにある。もっとも、食品スーパーの中でも個社によって売上の伸びにバラツキが目立つようになっている。売上の好不調を分ける要因になっているのが「生鮮品」である。売上が好調なスーパーはあえて上質な生鮮品を投入することで客単価の引き上げに成功している。素材重視の戦略で高収益を上げている「マルエツ」、産直による鮮度の高さをウリとする小型青果店「旬八」などが好例である。
売上の伸びは生鮮品で決まる
生鮮品がどれだけ売上の伸びに寄与しているのか、食品スーパー各社の売上データからみてみよう。新日本スーパーマーケット協会が毎月発表している食品スーパーの売上伸び率(全店、前年比)をみると、伸び率の殆どは生鮮品がけん引しているのがわかる(図表1)。先日発表された9月の食品スーパーの売上伸び率は、前年比2%のプラスであった。そのうち生鮮品の寄与度は1.8%と、売上全体の伸び率の大半は生鮮品で説明できる。「青果・水産・畜産」の生鮮3部門は売上全体の3割を占めていることもあるが、同じ1割程度のウエイトを占める「畜産」と「惣菜」を比較しても、畜産の寄与度は惣菜のそれを大きく上回る傾向にある。
図表1 食品スーパー売上伸び率の内訳(寄与度)
■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現国際投信投資顧問)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。
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